雑記

『竹下佳江 短所を武器とせよ』感想

僕が最初、この竹下というセッターを観たとき「ほほう」と目を奪われはしたが、正直好きになれなかった。上手いけど雑だとか、攻撃的だけど無駄が多いとか、中学レベルの知識でダメ出しをしながら観戦していた記憶がある。2003年のワールドカップの頃だろう…

カフカ著『城』感想

フランツ・カフカの『城』を読むのはこれで3回目か4回目になる。カフカの代表作といえば、朝起きたらなぜか巨大な虫になっていたという理不尽さが宇宙級の『変身』で、本当に衝撃的だった。キテレツな舞台設定だけでなく、物語全体に漂う、閉塞感、息苦しさ…

『村上春樹 雑文集』感想

インタビュー集に続けて読んだ。筆者の言う、苦手な喋りと専門分野である文章という違いはあれど、同じ人間の主張なので、より深く村上春樹という人物の核のようなものを感じ取れたと思う。そして、この2冊のハルキ本を読んだ結果、無性に外国文学を読んでみ…

ニコルソン・ベイカー著『中二階』感想

なんともかんとも不思議な小説だった。主人公の頭の中で思い描いている事柄すべてを文章に書き起したというような内容。でもそれはとてもリアルに描写されており、ああ、確かに自分の頭の中でも、オフィスを歩きながら、誰かと話しながらもこんなこと考えて…

『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』感想

物語を体験するというのは、他人の靴に足を入れることです。世界には無数の異なった形やサイズの靴があります。そして、その靴に足を入れることによって、あなたは別の誰かの目を通して世界を見ることになる。 昔、急遽フォーマルな皮靴が必要な用事ができ、…

村上春樹著『回転木馬のデッド・ヒート』感想

■「プールサイド」 35歳になった春、彼は自分が既に人生の折りかえし点を曲がってしまったことを確認した。 いや、これは正確な表現ではない。正確に言うなら、35歳の春にして彼は人生の折りかえし点を曲がろうと決心した、ということになる。 もちろん自分…

『走ることについて語るときに僕の語ること』感想

個々のタイムも順位も、見かけも、人がどのように評価するかも、すべてあくまで副次的なことでしかない。僕のようなランナーにとってまず重要なことは、ひとつひとつのゴールを自分の脚で確実に走り抜けていくことだ。尽くすべき力は尽くした、耐えるべきは…

3月の読書メーター

3月の読書メーター読んだ本の数:7冊読んだページ数:2017ページナイス数:12ナイス夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです「喋るのが苦手」ということもあってか、同じ内容でも、文章とはまた違うトーンが味わえた。また、昔の作品はもちろん、カポーティや…

チャップリン「独裁者」感想

少し前にテレビ番組でちらっと取り上げられており、気になったんで全編観てみたんだよね。ちなみにこの映画は、ヒトラーやナチスの世界を中心に描かれた内容なんだけど、アメリカで初公開されたのが1940年というのがミソなんだよね。というのもね、公開前年…

『石川直宏 まっすぐに平常心』感想

国分寺にいた頃、厳密には小平市民だったので、いつしかFC東京を応援するようになっていたんだよね。理由は、FC東京は小平に練習場を持っていて、地元のチームという感じがしたからだよ。Jリーグって地元のチームを応援するみたいな空気だろ。 僕は元々は柳…

『社長のデザイン』感想

「制作」という現場で仕事をするようになって、デザイナーっていう職種はかわいそうな役回りだなと思うことが多かったんだよね。というのもね、デザインっていうのは、猫も杓子もダメ出しを入れてくるわけさ。「もっとポップに」「なんかパッとしない」「赤…

乙一著『箱庭図書館』感想

僕は、乙一氏をリスペクトする作家の一人として崇めてるんだけど、最近どうも違和感を感じることがあるんだ。それは、氏が時折みせるユーモラスな一面(文体)ってのが、どうも受け付けられないんだよ。もう徹底してシリアスで、せつない物語だけ描いてほし…

映画「ヒミズ」感想

園子温監督作品ということで観てみたんだ。何年か前の「紀子の食卓」がすこぶるエキサイティングだったからね。まあ最近「恋の罪」ってのもやってて、東電OL事件をモチーフにしてるってからおもしろうだとは思いつつも観逃したんで、こっちは忘れずに観に行…

2月の読書メーター

2月の読書メーター読んだ本の数:8冊読んだページ数:1814ページナイス数:9ナイス今さら人に聞けない はじめての経営 (アスカビジネス)テーマ別に小さくまとめられているので、ピンポイントで理解しやすかった。ただ当然内容はライトなものなので、これ一冊…

映画「TIME/タイム」感想

時間、通貨、そして寿命、となかなか興味深いキーワードが並んでたんで観てみたんだ。で、実におもしろかったよ。シンプルな世界観で深いテーマって、僕が一番好む映画だからね。 で、昔どっかで聞いた話を思い出したんだよね。人は歳をとるにつれて、時間を…

『ヒトはどうして死ぬのか―死の遺伝子の謎 』感想

生命の「連続」を保証するために、個体にとって「不連続」となる「死」が細胞に組み込まれたことは、一見、矛盾しているようにも見えるかもしれません。しかし地球の環境が変わりゆくなか、生物の個体を通じてしか存続できない遺伝子にとって、生物を環境に…

『今さら人に聞けないはじめての経営』感想

ということで、もう一冊借りてきたんだ。こちらは、だいたい1〜2ページで1テーマとして、起業に関しての100以上の素朴な疑問に答えてある形式なんだよね。こちらもまあ金の流れを中心にまとめてあるんだよね。まあ少し細かい知識もついたかな。 でね、思い出…

『アメリカの高校生が読んでいる起業の教科書』感想

僕は別に起業したいなんてコレっぽちも思ってないんだよね。もとより会社経営ほど自分に向いてないものはないと思ってるんだよね。金はともかく、人を動かし続けるなんてことはめっぽう苦手で関わりたくない事柄だからさ。でもね、こんな僕でも「会社」って…

奥田英朗著『野球の国』感想

非常にうっかりして、すでに所有している文庫を買ってしまったわけだよ。つまりね、出張中に雪のため金沢に帰れなくなってしまい、不意にできた時間を潰すために書店で本を買うことにしたのだが、いざ買ってみた本が家の本棚に収まってる本だったというわけ…

勝間和代著『まじめの罠』感想

賢いというのは、ある意味、ひたすら「抜け道」を探すことです。私の中学受験のときの勉強法も、言ってみれば抜け道を探した結果です。 僕がここ数年、まあ具体的には金沢に帰ってきてから強く感じていることの一つに、世の中にはまじめな人が多いんだなぁー…

今枝由郎著『ブータンに魅せられて』感想

少し前にブータンの国王夫妻が来日したのは君も覚えてるよね。で、やいのやいのと注目されてたんで、ブータンについての本を借りてみたんだ。てかね、そもそも君は「ブータン」なんて国が存在してること知ってたかな。僕は、伊坂幸太郎氏の小説『アヒルと鴨…

1月の読書メーター

1月の読書メーター読んだ本の数:8冊読んだページ数:2088ページナイス数:10ナイスドラゴンズ検定2006年シーズン終了時までの検定クイズ。ちなみに僕は176問中98問正解で、正解率55%(オマケを除けば160問中92問正解)。特に中・上級編は手強い問題が多か…

赤坂英一著『プロ野球二軍監督』感想

これは野球に限らず、ごくごく普通の社会人でも一緒だろうけど、活躍できない人ってのは真面目じゃない人なんだなと感じたよ。どれだけセンスや才能があっても、それだけでは大人の世界ではやってけないんだよね。高校や大学ってレベルではそういう持って生…

「90ミニッツ」感想

三谷幸喜のお芝居を観てきたよ。やはりガチでスリリングだったよ。 このお話は事故った息子の父親と、オペを任されている医者のやり取りを描いたものなんだ。まあそもそも出演者は2人しかいないんだけどね。で、父親はその土地の風習に基づき「息子に輸血は…

應武篤良著『斎藤佑樹と歩んだ1406日』感想

さら〜っと一気に読み終えられたね。「むむ」と唸る特筆すべき哲学や理念などもなかった気がするよ。 まあ、「斎藤佑樹というスター選手がいた」ということを振り返る、再認識するには悪くない一冊だろうね。 【送料無料】斎藤佑樹と歩んだ1406日価格:1,365…

12月の読書メーター

12月の読書メーター読んだ本の数:4冊読んだページ数:1587ページナイス数:16ナイスぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)なんとなく終了。自分には少し高度過ぎて、話に入り込めなかった…。読了日:12月21日 著者:立花 隆・佐藤 優アンダーグラウンド (講談社…

林郁夫著『オウムと私』感想

僕は犯罪者ましてや殺人者なんて人間に対しての更正や反省にどんな意味があるのだろうか、そんなことをしても誰も救われないのではないかという意見なんだよね。そもそも被害者の心情よりも、加害者の人権を優先して話が成り立っていることに疑問を感じるし…

福田和也著『乃木希典』感想

自分の誕生日を検索してみたことは、君もあると思うんだ。つまり自分の生まれたのと同じ日に、どんな有名人、著名人が生まれたか、また歴史上どんな出来事があったかなんてのは、ウィキペディアなんかを通してある程度知ってるはずだよね、きっと。でね、僕…

下半期俺的優良書籍BEST5

5位 齋藤孝著『人はなぜ学ばなければならないのか』 冒頭で書かれていた、「生きる呼吸が浅くなっている――」というフレーズが、強烈な印象で残ってるね。昨今の世界をとても上手く表現しているなとね。もっと「今」を噛み締めて消化しなよと、あくせく働くサ…

『約束された場所で』『アンダーグラウンド』感想

アニメ「輪るピングドラム」の影響で、『約束された場所で』『アンダーグラウンド』を再読してみた。通常とは逆の順番で読んでみて、今回僕が強く印象に残ったのが「画一化」というキーワードだ。 まず、(元)オウム信者のインタビュー『約束された場所で』…