せめて少しはカッコつけさせてくれ

◆阿久悠さん死去 作詞家、「正論」メンバー 70歳<Sankei WEB(2007.08/01)


 「また逢う日まで」「勝手にしやがれ」など5000曲以上の歌を作詞し、昭和40年代後半から50年代の歌謡曲の黄金時代を牽引(けんいん)した作詞家で作家、阿久悠(あく・ゆう=本名・深田公之=ふかだ・ひろゆき)氏が1日午前5時29分、尿管癌(がん)のため死去した。70歳。兵庫県出身。自宅は非公表。葬儀は近親者のみで行い、後日、「送る会」を行う予定。喪主は妻、深田雄子(ふかだ・ゆうこ)さん。


 昭和34年に明治大学文学部卒業後、広告代理店の宣弘社に入社。広告マンと放送作家の二足のワラジを履くが、40年にフリーとなり、作詞を中心に小説、エッセーなどの執筆活動に入る。同年、ザ・スパイダースの「モンキー・ダンス」で作詞家デビューした。


 僕が阿久悠という人を知ったのは、当然のことながら「勝手にしやがれ」や「どうにもとまらない」や「UFO」の作詞家としてではなく、産経新聞で毎週土曜日に書いていた連載だった。彼の作詞家としての全盛期は、僕が生まれた年あたりだからね。とにかく、僕は毎週土曜日に野球に行く電車の中で阿久悠の連載エッセーを読んでいた。ちょうど武蔵境とか三鷹に差し掛かるあたりで、彼のエッセーを読み終え、そして「ふむ」と一息、窓の外の景色を眺めていた記憶がある。とても切れ味のある、そして力強い文章だった。まだ半分眠っているような身体が目覚めるような刺激があった。そこで阿久悠という人間の文章を好きになったわけだ。


 ちなみに阿久悠作詞の代表作は以下の通り。


石川さゆり
 「津軽海峡冬景色」
 「能登半島
小泉今日子
 「学園天国」
桜田淳子
 「私の青い鳥」
沢田研二
 「勝手にしやがれ
 「カサブランカ・ダンディ」
西田敏行
 「もしもピアノが弾けたなら」
ピンク・レディー
 「ペッパー警部
 「S.O.S」
 「カルメン'77」
 「渚のシンドバッド
 「ウォンテッド(指名手配)」
 「UFO」
 「サウスポー」
森昌子
 「せんせい」
山本リンダ
 「どうにもとまらない」
 「狙い撃ち」
和田アキ子
 「あの鐘を鳴らすのはあなた
その他
 「ピンポンパン体操
 「デビルマンのうた」
 「宇宙戦艦ヤマト
 「ウルトラマンタロウ


 そういえば近年、年配の著名人が死んだというニュースを見て、「ああ……」と思うことが増えてきた。これまでは、ニュースキャスターが、いくら漬物石のような重い表情で、氏の生前の活躍や武勇伝を伝えているのを聞いても「知らないな」としか思えなかった人ばかりだったが、最近はそうでもないことが増えているような気がする。もちろん、いかりや長介植木等のような芸能人ならピンとくるのだが、いわゆる文化人と呼ばれる類のおっさん死に反応してしまうことが増えてきたのだ。つまり、自分も歳をとったということであり、自分が生きた世界を築いてきた人間が死んでいくということであり、そして自分もまた死に近づいているということなんだろう。


勝手にしやがれ *** 沢田研二 ***

 自分の生まれた年のレコード大賞ということもあって、すごい好きな唄なんだな。マジな話。まあ、もちろんそういう事実は生まれたときから知ってたわけじゃなくて、あとから聞いて知ったわけだから、単なるコジツケなんだけどね。


◆Live 沢田研二 勝手にしやがれニコニコ動画


◆阿久悠オフィシャルホームページ「あんでぱんだん」