百聞で笑い、一見で引く

◆「ドライブスルーをカネ払わずスルー」 マック店でイタズラ動画騒動J-CASTニュース(2008.03/11)


 クルマに乗車しながらメニューを注文できる日本マクドナルドのサービス「ドライブスルー」を悪用した「イタズラ動画」がインターネット上で騒動を巻き起こしている。動画は、「ドライブスルー」で注文するだけして、お金は払わず逃げ去るというもの。日本マクドナルドは「事実関係を調査中」としている。


 動画のタイトルは「ドライブスルーを全力でスルーしてみた」。クルマの助手席にいる撮影者が、マクドナルド店舗のドライブスルーで注文する運転手の姿を撮影している。


 店員に「いらっしゃいませ、こんばんは」と言われ、「ダブルチーズバーガー2つと、シャカシャカチキンのチーズが2つ、照り焼きのセット、シャカシャカチキンのホットチリが3つ」と運転者が注文。店員に「お待たせしました、今日のお会計1520円です。お車前へどうぞ」と誘導されると、大笑いしながら会計窓口を通り過ぎ、スピードを上げて走り抜けるという内容だ。


 動画は08年3月初めから動画投稿サイト「ニコニコ動画」に複数アップされはじめ、「何が面白いんだ」「逮捕されろ」といった批判や中傷のコメントが相次いでいる。さらに、動画は「ユーチューブ(YouTube)」にもアップされ、ここでも「お前ら小学生か」などと批判されている。
(後略)


 にぎわっているようなので、僕もその動画を見てみた。というかYahoo!ニュースには、ご丁寧にも“「ドライブスルーを全力でスルーしてみた」の検索結果 - YouTubeというリンクが設置されているので、たいして関心がなくてもクリックしないわけがない。


 こういうバカらしい武勇伝的な話って規模の大小関わらず誰しも持っているだろうし、身内の人間からもちょくちょく聞く話だと思う。でも、身内の人間だったらおもしろいとも思えるのだろうけど、赤の他人の話となるとそういうわけにはいかないもんだ。まあ、その人のバックボーンを知っていれば、「またアイツ、バカなことやってるよ」と笑い話にもなるが、いきなり悪ふざけ部分だけ切り取ったシーンを見せられれば、情状酌量の余地なんてないからね。友達が酔っ払ってるのを見てるのは楽しいけど、知らないおっさんが酔って上機嫌なのを見ると不愉快になるのとも似ていると思う。だから、この動画も多分、身内のバカ話のつもりでニコニコにアップされたのだろうけど、他人の目に触れれば、こういう風に批判の的となるのは致し方ないことだと思う。


 まあ、それよりも僕が感じたのは映像というものの強さだ。


 「俺らドライブスルーを全力でスルーしてみたんだぜ」という悪戯を、話で聞いたり、活字で読んだりするよりも、その現場を目で見たときのインパクトは計り知れないくらい大きい。悪ふざけの「おもしろさ」よりも、「醜さ」というものがひしひしと伝わってくるのである。


 だからこれまで笑い話としてきた自分の身内のバカな武勇伝だって、話で聞くから笑えたのであって、その映像を客観的に見せられたら実はけっこう「寒い」と思うのかもしれない。「笑い話」のほとんどは、「話」であるから「笑える」のであり、「映像」となると、けっこう「すべって」しまうもののように思えた。