リーダーシップは必要か否か

◆ドラマチック!早大、2季ぶりV/関東対抗 (1/2ページ)SANSPO.COM (2009.12/7)


 関東大学ラグビー対抗戦(6日、国立、早大16−14明大)意地の雪辱だ!! 伝統の早明戦は、大学王者・早大が3点を追う後半30分、途中出場のSH桜井朋広(4年)のトライで明大を逆転。16−14で振り切り、6勝1分けで2季ぶり21度目の優勝。明大との通算成績を48勝35敗2分けとした。前半は明大に2連続トライを許し、HO有田隆平(3年)ら中心選手を次々と負傷で欠く緊急事態に見舞われながら、桜井ら控え選手が奮起。今季最大の逆境を乗り越え、史上2校目の大学選手権3連覇へ弾みがついた。
(後略)


 きのうのラグビー大学選手権を観てて思ったんだ。


 試合はね、前半は俄然明治ペースだったんだよ。明治の2トライ、2ゴールに対し、攻めに攻めた早稲田はノートライでペナルティーゴール1本だけ。しかも明治の2トライは「これぞ明治」というモールで押し込んでの1トライと、「これぞラグビーという流れるようなパスワークからの見事な1トライ。こういうのってすこぶる勢いづくよね。一方の早稲田はスタメンから主力を何人かケガで欠き、さらに前半戦でも2人をケガで交代させて、あげく終了間際にペナルティーゴールを1つ外しての折り返しだったんだよね。こりゃもう早稲田やばいんじゃないのって誰もが思うよね。


 でもさ、ハーフタイムを終えての中竹監督のコメントは、「いやもう全部選手たちに任せてありますから」と、しれっとしたもんだったんだよ。「後半に向けて、何か具体的な指示はされましたか?」「いや、別に」みたいな。負けてるチームの監督がだよ。余裕を通り越して、無関心なようにも見えたけど、まあこれが中竹流というか、中竹マジックなんだろうね。実際に後半戦がはじまると流れはイーブンくらいに持ち直しているわけさ。で、いいぞいいぞと観ていたら、ポンポンと選手交代があって、その交代選手が実に効果的に活躍し、逆転のトライは途中出場のスクラムハーフの選手なんだよね。こりゃドラマチックどころじゃないよね。選手にすべて任せていながらも、監督としての打つべき手は打ち、チームを勝たせるってね。



 僕は清宮監督時代の熱くるしいラグビーに惚れたわけだけど、「日本一オーラのない監督」というコピーよろしい中竹監督の放任、自主性のラグビーもスタイリッシュだなと痛感したね。だってさ、監督が「俺が俺が」というチームづくりよりも、選手に任せた自主性を重んじるチームづくりの方が難しいでしょ、実際。「自主性」とか「放任」とかって都合のいいときにしか使われない言葉だしね。それでもチームを強くするってのは、ほんまもんの指導力があってこそだと思うんだ。放任しておいてもチームを束ねられるというそのオーラは、ある意味、監督としての本当の強さなんじゃないかなと思ったよ。


 そんな中竹監督の今年はじめに出した著書がおもしろそうなんで買ってみることにしたよ。

完全なリーダーシップで作った組織は、そのリーダーがいなくなった瞬間に力を失う。しかし、リーダーについていく人間(フォロワー)をしっかり育てていれば、リーダーが代わっても組織は揺らがない。

 これはシビれたね。



『リーダーシップからフォロワーシップへ』中竹竜二