「貴浩よ、お前もか」〜本当のヒールはどこにいる?

◆つらい、カープが好きだから…広島・新井、涙のFA宣言SANSPO.COM(2007.11/08)


 プロ野球、広島カープ新井貴浩内野手(30)が8日、広島市内のホテルで会見し、今季取得したフリーエージェント(FA)権の行使を表明した。同日、球団にFA宣言書を提出した。「カープのユニホームをもう着られないのがさびしい」と他球団へ移籍する考えを示した。右の長距離打者を補強のポイントに挙げている阪神への入団が決定的とみられる。


 会見の席に座ったときから目は潤み、心境を聞かれると「つらいです。カープが好きだから…」と声を詰まらせ、悩みぬいた末の苦渋の決断であることをうかがわせた。


 宣言の理由を「自分を厳しい環境に置き、そこでどう変わっていくか、挑戦する気持ちが出てきた」と優勝争いができない広島の現状にあると説明。ファンに対しては「気持ちを裏切るかたちになり、申し訳ない。喜んで出ていくわけではない」と涙ながらに話した。
(後略)


 その大雑把な三塁の守備と豪快な打撃は、個人的に親近感がわくところがあり、新井選手は僕の好きな選手の一人。まあ、そんなこともあってか、このFA宣言は少なからずショック。別に僕はドラゴンズファンで新井選手個人を好きなだけなんだけど、何か気持ち悪い部分はある。


 僕は一時期、「もう日本の野球なんか観ない」と、どっぷりとメジャーにハマっていた時分があったけど、気付くといつの間にかまた日本の野球ばかり観るようになっていた。何故かというと、メジャーは移籍が多すぎるのだ。ちょっと目を離すと誰がどのチームに移ったのか、さっぱり見失ってしまう。もちろん実力主義の中での入れ替わりが起こるのならしょうがないのかもしれないが、それにしてもメジャーには特定のチームを応援し続けるだけの「柱」のようなものがないと感じたのだ。つまりマリナーズといえばエドガー・マルチネスジーターといえばヤンキース、みたいに一選手とそのユニフォームががっつり結びつくケースがあまりにも少ない。ランディー・ジョンソンといえば? Aロッドといえば? 人それぞれ思い浮かべるチームは違うと思う。そういうのが疲れるのだ、とっても。


 昔、パワプロサクセスモードをやっていたとき、ある試合でいきなり横浜の四番にトレードか何かでやってきた松中が出てきたり、立浪がFAで巨人に行ってしまったりしたときは、すごく興ざめしてゲームを続ける気がなくなってしまった記憶がある。こうなったらみんな野球に興味なくすよね。


 プロ野球といえどあくまで興行でありビジネス。また選手にも様々な権利や主張があるのだろうけど、一ファンとして何か腑に落ちないもんがあるんだよなぁ、FA宣言。でもまあ選手は悪くないのかな、制度に甘さがあるような気がする。


 広島出身で、子どもの頃から大のカープファンだったという新井選手。会見の涙にもあるように、本当にカープのことが好きだったんだろうなと思う。でも「優勝したい」との理由で、そのチームを抜けるというのは、相当勇気のいる決断だったはず。そう考えると、かっこいいなとも思う。まあ、あくまで第三者の立場だからだろうけど。福留がタイガースに行くことになったら……。多分、今のカープファンはそんな心境なんだろうな。