日曜日の日記
どういうわけか2〜3日前から一眼レフのデジカメがほしいと思いはじめた。僕の買い物はほとんどが衝動買いの類なので、日曜日、昼過ぎに目が覚めると、身体が勝手に吉祥寺のヨドバシカメラに向かっていたのである。
僕は中野から中央線に乗り込む。僕は読みかけていた文庫を読み、中央線はぐいぐいと止まらずに突っ走る。さすが休日の中央線は高円寺・阿佐ヶ谷を飛ばすから快適だなと思いながら、ふと窓の外に目をやると、吉祥寺名物の赤と黒の「ユザワヤ」の看板の横を今まさに通り過ぎたところではないか。多分、特快とか特別快速とか、そういうやつに乗ったのだろう。まあ、特快も特別快速も同じなわけだが、とにかく僕は三鷹まで連れてこられてしまった。
そこで僕は少し考えて、国分寺まで行ってみることにした。国分寺は僕が前に住んでいたところで、かれこれ6年間暮らしていた街。つまり東京に来て半分以上は国分寺にいたということになる。大学生だった頃、バンドをやっていた頃、吉祥寺でバイトしてた頃、バイトだったがはじめて「会社」と呼ばれるところで働いていた頃、専門学校に行っていた頃、前の会社にいた頃、野球をはじめた頃、今の会社で働きはじめた頃……。およそ僕が東京で関係したすべての“舞台”から、僕は国分寺に帰ってきていたことになる。そんな国分寺に久しぶりに行ってみたくなった。しかもこの電車は、三鷹の次は国分寺まで一気に行ってくれるという。どうせカメラを買う以外に予定なんてないし、久しぶりに国分寺に行ってみることにした。僕はときとして、イレギュラーな出来事にも臨機応変に対応することができる。
で、また文庫本を読むことにしたのだが、また妙な違和感を感じるので、窓の外に目をやってみると、その違和感の原因が目の前で色濃く展開しているのである。中央線が地面を走っていないのだ。つまり、例の高架工事とやらが完成したのだと思った（帰りはこれまで通りの地面のコースを走ったので、全面移行ではないようだ）。
それはとてつもなく新鮮だった。これまで、昼夜問わず何百回と眺めてきた中央線からの景色がまったく新しいものとして見えるのである。高さにして5メートルくらいなのだろうが、それでもここまで見えてくる世界が違うとある種の感動が生まれる。中央線の高架工事は、なんだかんだと文句を言われていたが、できてみると、それはそれで賞賛すべき工事だったのかもしれないと思った。
んで、国分寺に着いた。ここでは、たいした新鮮味も驚きもなった。バス通りにあった何とかというスーパーが何とかというドラッグストアに変わっていたこと以外は、ほとんど僕の記憶の中にある街並みと同じだった。そして、僕は当然のことのように、「宝来」という定食屋さんに向かって、遅めの昼飯を食うことにした。「宝来」は、どこにでもあるような小さな定食屋さんだが、僕が東京に来て食べたお店の中でももっとも利用頻度が高く、満足度も高い。ここで飯が食えただけで、充分国分寺を堪能したことになる。
そんなこんなで、やっとこさ吉祥寺に降り立つ。僕は「α」というSONYが出している一眼レフを買うことに決めていた。今CMでは香椎由宇さんが出てるやつだ。店員さんから商品の説明をしてもらい、それを受けていくつか質問して、いくつかのアドバイスをもらった。その後、一旦店を出て、1時間あまり考えあぐねいた末に、「α200」という、お手軽なタイプのボディと、「DT 18-200mm」という、接写から望遠までマルチに対応できるレンズを購入。メモリカード等含め、約100,000円也。
今日得た一眼レフの知識は2つ。1つ目は、「ライブビュー」。今後、一眼レフと言えど、ファインダーをのぞかなくても撮影ができる「ライブビュー」というタイプが主流になってくるらしい。デジカメのように、液晶のモニタで被写体を確認するやつのことだ。「α350」が、その機能を搭載していたが、高いのでやめた。
2つ目は「レンズキット」の罠。ノーマルなタイプと望遠タイプの2本がついてくるレンズキットお買い得だが、2本あっても使わなくなるし、そもそもあまり使えないレンズなのだとか。少々高かったが、マルチタイプのレンズ1本を買った俺は勝ち組。
そしてさっそく中野の街を撮影しようと思ったのだが、たいしたものは撮れなかった。あげくブロードウェイのMANDARAKEの前で写真を撮っていたら、写真はダメだと怒られる始末だ。まあ、それでも今日はいい1日だったよ。
最後に、家に帰ってから読んだ「Number 701」（ダルビッシュが表紙）の、バファローズの古木と浜中を描いた「ナンバー ノンフィクション」が、素晴らしい記事だったことを付け足しておこうと思う。
