“なさそうである”



『真夜中のマーチ』奥田 英朗


 奥田英朗を読めば読むほど好きになっていく。登場人物が個性豊かで、“なさそうである”抜け方をしてる部分に大いなる魅力を感じる。なんとなく中島らもを思わせる破天荒さとうさんくささ、そして、ときおりにおわせる重松清風なせつないノスタルジック観も良い。


 妙な3人組みで10億円を強奪するという、いわゆるドタバタ劇『真夜中のマーチ』は、奥田作品のなかでは「中の上」くらいかもしれないけど、充分読み応えはあると思う。