『シンフォニエッタ』ヤナーチェック from 1Q84


 まずね、これを聴いておくべきだと思うよ。こういうときにYouTubeのありがたみをひしひしと感じるね。


■Leos( Jana'c(ek, Sinfonietta


■Jana'c(ek - 'Sinfonietta' final movement


 2つ目のYouTubeはね、2008年のBBCシンフォニー・オーケストラのものらしいけど、心に染み入るよね。まあ僕はそもそもクラシックは聴かない野暮や人間だから、どう喩えればいいのかわからんけど、すぎやまこういち的な世界を感じたよ。すぎやまこういちね、ドラクエの。
※追記:1つ目のYouTubeは「シンフォニエッタ」の第一楽章。2つ目はの第五楽章(最終楽章)だそうで。


 こうやって、クラシックを聴くのは『リリイ・シュシュのすべて』の影響でのドビュッシー以来だけど、映画とか小説に感化されて聴くクラシックのも悪くないと思うんだ。てゆーか、この御時世、ごく一般の庶民にとってみれば、「エンタメからクラシックを知る」みたいなルートでしかこんな音楽と出逢わないような気もするけどね。まあそういうのもたまには良いと思うんだ。まじめな話。

■『1Q84村上春樹


 レオシュ・ヤナーチェックは一八五四年にモラヴィアの村に生まれ、一九二八年に死んだ。本には晩年の顔写真が載っていた。禿げてはおらず、頭は元気のいい野草のような白髪に覆われている。頭のかたちまではわからない。『シンフォニエッタ』は一九二六年に作曲されている。ヤナーチェックは愛のない不幸な結婚生活を送っていたが、一九一七年、六十三歳のときに人妻のカミラと出会って恋に落ちた。既婚者同士の熟年結婚である。一時期スランプに陥っていたヤナーチェックは、このカミラとの出会いを契機として、旺盛な創作欲を取り戻す。そして晩年の傑作が次々に世に問われることになる。

 ある日、彼女と二人で公園を散歩しているときに、野外音楽堂で演奏会が開かれているのを見かけ、立ち止まってその演奏を聴いた。そのときにヤナーチェックは唐突な幸福感を全身に感じて、この『シンフォニエッタ』の曲想を得た。そのときに自分の頭の中で何かがはじけたような感覚があり、鮮やかな恍惚感に包まれたと彼は述懐している。ヤナーチェックは当時たまたま大きな体育大会のためのファンファーレの作曲を依頼されており、そのファンファーレのモチーフと、公園で得た「曲想」がひとつになって『シンフォニエッタ』という作品が生まれた。「小交響曲」という名前がついているが、構成はあくまで非伝統的なものであり、金管楽器による輝かしい祝祭的なファンファーレと、中欧的なしっとりとした弦楽合奏が組み合わされ、独自の雰囲気を作りあげている――と解説にはあった。