のりピーという虚像


 タレントという職業ほど虚しいものはないよね、って思うんだよ。


 こののりピーさんだって、悲劇のヒロインだとか一転容疑者だとか、なんだかんだ言われたけど、結局のところ、一連の逃亡劇から逮捕劇まで、僕らは充分に楽しませてもらったわけだよね。きっと、どこの会社の昼休みでも、毎日のりピーがどうしたこうしたって話題は出てたと思うんだ。だからね、そういう意味では、タレント冥利に尽きるってもんじゃないのかな、ここ1週間くらいののりピーは。



 タレントに属される人種は、清純派だとか演技派だとか名脇役だとか、どんな風にカテゴライズされようと、結局のところは、お芝居や言論や音楽を通じて、世の中に流行やブームを伝えることが、彼ら彼女らの命題なわけだよね。こういうファッションが今カッコイイとか、こういう言葉遣いが今イカしてるとか、こういうものの考え方はなかなかするどい、とかね。ブームの発信源として世の中を活性化させてるわけだよ。で、それと同じように、いけないことをしたら、こんな風にカッコ悪いですよ、という見せしめになることも仕事の一環になってしまうような気がするんだね。これまでもいろんなタレントや芸能人が逮捕されているけど、「現在日本では、こういうことをすると罰せられます。うん、まじで」ということを教えることに、大きく一役買ってると思うんだ。もちろん本人にとってみれば不本意なことに違いないけどね。


 だからね、タレントって職業は、何がプラスで何がマイナスなのか、からきしわからないと思うんだよ。醜態を世の中にさらすのも結果的に人様の役に立ってる、なんて考えると、なんだか悲しくなってくる仕事だと思うんだよね。一般ピープルからみるとね。

◆酒井法子容疑者 数年前から“変調”<イザ! (2009.08/09)


 警視庁は8日午後9時すぎ、覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで、女優で歌手の酒井法子容疑者(38)を逮捕した。同日午後8時ごろ、弁護士らと東京・文京区の同庁富坂庁舎に出頭。大筋で容疑を認めている。

 時代を席巻した清純派の元アイドルに何が起きたのか。酒井容疑者を知る関係者は、数年前から“変調”が見られたと指摘する。
(後略)