伊坂幸太郎著『ラッシュライフ』感想



『ラッシュライフ』伊坂幸太郎


 この文庫の「あとがき」にも書かれていたけど、伊坂幸太郎氏の小説って、「ザ・小説」というか「ザ・物語」という世界観なんだよね。だからね、読みはじめからスッとその世界に引き込まれて、どっぷり浸かっちゃうわけさ。バケツいっぱいの墨汁の中に和紙を浸すように、あっという間にスッとね。まいっちゃうよ。


 この話では、5つ舞台が用意されていて、それぞれの世界を生きる別々の主人公が見えない部分で繋がりあって、折り重なって、展開してくって具合なんだ。一見SFっぽい非現実的な部分もあるけど、最終的にはきっちりリアルにまとめられてるとこなんかは、けっこう爽快だよ。小説を読んでて爽快になることなんて、あんまりないと思うんだ、実のところね。


 まあとにかくね、ここのところ新書とか実用書ばっか読んでたから、こういうどストライクな物語を読むと心地よいもんだよ。君も、むずかしい本ばっかり読んでる類だったら、たまには伊坂幸太郎を読むといいと思うよ。