バントとネット・サービスの共通項


 ネット・サービスの仕事をやってると、バンドをやってた頃を思い出すんだよね。つまりさ、サイトも音楽も「自分達が良いと思うことをやっていれば、客は増える!」という間違った認識に陥るってことでね。


 僕はね、世の中で一番難しいのが「客を集める」って事柄だと思うんだよね。まじ。だからこそ一番大事とも言えるね。つまりさ、自分のスペックを上げることよりも、他人が喜ぶ術をマスターすべきだと思うんだ。俺今いいこと言ったと思うよ。「他人が喜ぶ術」ってのがハードル高いと感じたら、「他人に嫌われない術」でもいいと思うよ。まあとにかく、気づいたことをまとめてみるよ。

商品よりも「人」の方がまず客に伝わる

 この世の中、いい音楽なんて腐るほどあるわけだよ。プロアマ問わずね。俺のiPodにも昔のアマチュア・バンドの仲間の曲が入ってて、メジャーの連中と同じように今でも聴いてるからね。で、同じようにカッコいいサイトやおもしろいサービスもそこらじゅうにあるわけさ。大手企業のものであったり学生サークルのものであったりとね。そのへん客だってちゃんとわかってるんだよね。だから、商品の裏側にある制作者の人間味の部分で良し悪しを判断するわけだよ、最終的には。知らず知らずのうちに、中の人を感じてるんだよね、消費者ってのは。テレビや雑誌でのヒット商品の特集でも、商品そのものにスポットを当てたものより、その制作過程や産みの苦しみや、一番の王道は社長が出てきてアレコレ語った企画の方が俄然エキサイトするよね。これだけの飽食時代だから、モノなんて二の次なんだよ、消費者にとってみれば「人」の方に興味があるわけなんだよね。

基本はファンサービス、接客

 まあ、さっき書いちゃったけど、自分のスペックよりも、他人が喜ぶことを実行することに意識を向けるべきだと思うんだ。自分がカッコいい音楽やってたり、クオリティの高いサービス持ってたって、客がいちいち気付いてくれると思ったら大間違いだね。客に見てもらうように考えて実行しないと、ものの見事にスルーされちゃうわけだよ。客に媚を売りすぎるくらいでちょうどいいと思うな。ただし、音楽だったら演奏能力だったり、サービスだったらその使い勝手だったりと最低限のスペックは必要だから、そのへんのバランスは空気読んでもらわないといけないだろうけどね。

母数は絶対

 んで、固定客が増えればもう何をやっても支持されるわけだよね。僕は思うんだけど、この世の中、いい音楽やいいサービスなんて腐るほどあるってことは、すなわち凡人だってそれ相応の仕事はできるってことなんだよ。問題はそれを受け入れてくれるピープルがいて、リアクションが返ってくるか否かなんだよ。どんな会心の一撃をリリースしても、誰からのリアクションもなければ、人間へこたれてしまうからね。で、仮に客の期待を裏切るようなハズレをリリースしてしまっても、その愚痴みたいもんがダイレクトに伝わってくれば、修正がききやすいわけさ。はてななんかがやってるようにね。ユーザーの反応こそが、凡人を非凡にさせてくれると思うんだ。



 まあね、言うのは簡単だし、書くのも難しくないけど、いざ実行するとなるとなかなかできないわけだけどね。それは、グループなり組織でやってると、それぞれの意見があって、なかなか一つの答えがでないって理由も含めね。まあ、バンドの場合は、「音楽性の違い」ってことで解散できるけど、会社の場合はなかなかそれができないから、つらいんだよね。サラリーマンってもんは。