タイトル不明〜Acid Love


 しつこく続くよ。冒頭なんかモヤモヤしてるけど、気にしないでくれよな。


 今回は最後のライブだしってことで、思いつく限りのことは全部やってしまおうという、結婚式にこれまでの半生で見聞きした事柄すべてを投資する新婦のようなノリで進行を考えてたんだよね。途中で衣装を替えたり、編成変えて3人だけで演奏してみたりってね。ちなみにこの3人で演奏するときのバンド名は「ベンチウォーマー」って名前を付けてたんだ。


 まあとにかくさ、ここで問題のシーンがあるんだ。当時僕は、キーがEのハープを持っていたんだよね。ハープってのはハーモニカのことだよ。別に吹けやしないんだけど所有してたってノリだよ。で、Eの曲をつくればEのハープを適当に吹いたって、それっぽく聴こえるんだよね。音楽ってそれくらい単純なもんなんだ。だから、このときのジャムではEの曲を書いて、Eのハープを吹こうってことになったわけさ。


 でもね、数年経った後に発覚したんだけど、このNOBLE FLEAというバンドは半音下げチューニングだったんだよね。つまりさ、コード上はEの曲でも、出ている音はD#なわけさ。で、ハープはEってな按配なんだよね。だから、ハープの音が出たときに若干の違和感を感じるのは正真正銘、半音ズレてるからってわけさ。この事実に気づくのに、本番を終えてもなお数年を要するってくらいだから、解散して正解だったろうね、このバンドは。



 で、お次に「Acid Love」という曲をやるわだが、これがまたクセモノなわけさ。というのもね、曲としてはとても好きなんだけど、ベースラインがどうもしっくりこないって曲だったんだよね。つまりは演奏的には大嫌いだってことさ。この曲は、僕がこのバンドに加入するずっと前から存在してて、つまりは、この曲のベースは前任者がつくったものを僕がコピーしたというものなんだ。だからね、最後までどうも他人のフンドシでなんとやらって感覚だったんだよ、実はの話。特にサビの部分がね。まあ、唯一ギターソロの裏で弾いてるベースラインはまったく自分オリジナルなわけで、その部分だけは、爽快感あったけど、その他のベースラインは結構ストレスだったね。つまりさ、曲として好きでも演奏的に嫌いな曲ってのもあるってことだよ。君もわかるだろ、いい曲だなっていつも聴いていたって、カラオケ行ったらうまく唄えないってのと一緒だよ。だってそれって君の曲じゃないからね。だから、どうせ音楽やるなら自分のオリジナルでやった方が、ずっとエクスタシーってなわけさ。覚えときな。


■タイトル不明〜AcidLove【ベンチウォーマー〜NOBLE FLEA】1999.09/02 (3)