部活の顧問と王国の国王


 部活に出るようになって気付いたことの続きだよ。


 部活の顧問の先生って、タレント職に似てるなと思ったんだよ。というのもね、たいていの顧問の先生ってのはひとつの部に1人だから、他の先生との育成プランに関するコミュニケーションもいらないし、自分1人の哲学や方針を貫くことが容易なんだよね。つまり自分だけの「王国」を築くことができるわけさ。というより、王国をあげるからうまいことやってください、ってのが顧問の先生の任務ともいえるよね。だからさ、休日を返上して部活動に出席し、強いチームをつくるもつくらないも、自分の努力ややる気に純粋に比例すると思うんだ。なんていうかさ、自分の能力がそのまま結果に出やすいなってね。



 でね、一方の我々一般のサラリーマンってのは、何かの才能があっても、それがそれ相応な評価を受けるとは限らないんだよね。というのも、その才能を評価するもしないも、上司の判断ひとつであったり、会社のポリシーによりけりなんだ。だから、上司や会社の好き嫌いを嗅ぎとったうえで、自分の才能を磨くなり努力を重ねることが必要なんだよね。つまりさ、他人の意見との調整ってのが、サラリーマンにとっての必要な能力のほとんどを占めるんだよね。自分のアイデアが最適と思っても、他人やましてや上司が「いや、違う」といえば、それが正しかろうがどうだろうが、上司の意見は絶対なわけだからね。それ飲み込んで受け入れることも重要な仕事のひとつなんだよね。


 もちろんさ、先生には先生なりの苦労もあるし、もちろん上下関係や中間管理職的なやりづらさもあるんだろうけどね。ただ、その自分の考えが即実行できるっていう国王的権限のある環境は、すこぶるうらやましい気がしたよ。まじ。