どこで暮らすかという選択


 少し前にね、テレビを見てたら「世界遺産への招待状」って番組がやってて、コソボにフォーカスした内容だったんだよ。


 コソボって国は、古くはユーゴスラビアの一部で、いわゆるバルカン半島の、あのややこしい歴史を背負っている地域のことだよ。でね、現状ではとても曖昧な立ち位置なんだ。というのも、コソボは2008年にセルビアから独立を宣言してるけど、国連加盟192国のうち65ヶ国しかこの独立を認めてないわけさ。ちなみに我が日本国は独立を認めてるよ。つまりさ、コソボ共和国として、1つの歴とした国家であるという人もいれば、セルビア共和国の中の「コソボ・メトヒヤ自治州」としてしか認めてない人もいるってことだよ。


 とにかくさ、コソボという国には大多数のアルバニア人と少数のセルビア人がいるんだってね。でさ、いがみあってるわけさ。徹底的にね。で、この人達は何をそんなにモメてるのかってっていったら、「ここは俺達の土地だ」(セルビア人談)「自分が生まれた場所に幸せに暮らしたい、ただそれだけだ」(同左)「うっせーよ、出てけよ」(アルバニア人談)というような主張なんだよね。もちろん、宗教的な問題もあるだろうけど、僕が感じるのは「土地」というものへのこだわりに思えるんだ。



 で、思い出したのが、昔、三原山かなんかの噴火で、避難だとか離島、帰島のニュースが出てたときだね。一時東京のどっかに避難した住民が「早く島に、家に帰りたい」とか言ってるのを見て、「なんでそんな危なっかしいところに戻ろうとするんだろうか? もう別の場所に引越して安全に暮らせばいいじゃないか」と言う主張もあったけど、当事者にとってみれば、わかっていてもそういうわけにはいかないんだろうね。昨今のように、移動がリベラルになって、国内や世界がぐっと身近に感じるそれ以前の世代にとっては、自分が生まれ育っった場所、ずっと生活してきた場所ってのはとても神聖なものと感じるんだと思うよ。先祖代々的な重みもあるだろうし。


 でもね、僕はどちらかというと身の安全の方が優先順位は高いと判断する方なんだ。つまりさ、コソボに関しても、「こんな危なっかしいトコ出てくわ」とセルビア人がセルビアに移動して、コソボが正式に独立してくれれば、世界平和の大きな一歩になると思うんだよね。だからね、こういうバルカン半島エルサレムのニュースやドキュメンタリーを見ると心が痛くなるね。もっと安全な選択をすればいいのになって。まあ、もちろん彼らには彼らなりの事情があるんだろうけどさ。


◆コソボ問題 わかりやすく