中学生日記


 少し前に、飲みの席かなんかで、「もし、学校の先生になるとしたら、小・中・高、どこがいいか?」みたいな話になったんだ。で、僕はなんの気無しに「中学かな」と答えると、「中学生なんて、子どもでもないし、大人でもないし、一番中途半端じゃないか。俺は中学だけは絶対厭だな」みたいな感じでひどく否定されて返されたんだ。まあ、確かにその通りなんだけどね。中学生日記とか金八先生でもお馴染みの、いわゆる思春期とか言われてる時期ってことだからね。


 でもさ、じゃあ僕がなんで、なんの気も無しに「中学かな」と口にしたかと言うと、自分が中学のときに教わったモノってのが、他のどの時代よりも大きいからだろうね。だから、「中学かな」って答えたあとに、もしくは「予備校かな。今の選択肢の中になかったけど」って答えも準備してたんだ。僕が学生時代に「先生」と呼べる人種から、生きて行く上での「核」のようなものを授かったなと思えるのは、中学のときと予備校のときだってことなんだよ。



 で、その後、何年かを経て住む場所も変わって、周知の通り、中学の先生にならずして、中学生を指導する立場にあるわけさ。しかも、ピンポイントに、「中学時代に得たすべて」とも言える部活動という場で、かつ、まんま、その当時とまったく同じ体育館の同じ場所でね。ある意味念願叶ってみたいなやつだよ。そう考えるとさ、ぐだぐだ文句言ってないで、自分が教わったことを、そのまま教えてやればいいんだろうなって思ったよ。


 それにさ、僕はその中学時代にやり残したことのひとつに、後輩とはほとんど交流しなかった、関わらなかったってことがあるんだよね。後輩になにかを教えたって自覚がないんだよ。だからさ、17年だか18年越しに、そのツケがまわってきた、否、もう1回チャンスが訪れたって考えて、指導をしていかないとなと改めて決心したよ。今の子らが、大人になったときに、「中学の先生になりたい」って言ってもらえるようにね。