Number 773「名将の言葉学。」


 まだ半分くらいしか読んでないわけだけど、今号のNumberは熱いね。「名将の言葉学。」ってなテーマなんだけどさ。

(前略)
 やはりラグビーの名将、元日本代表監督、大西鐵之祐にコーチの資質について聞くと、こう即答した。
「そこにいる人間を愛する能力だ」
 続けてこうも。
「ない人間にはないんだよ」
 だから資質なのである。
(後略)


■言葉を駆使した名将列伝。<Number 773


 そもそも僕は、あんまり他人を嫌いになったり憎んだりしないタイプだと思うんだけど、それでもどうしても「何だコイツは」と舌打ちしたくなる人っているわけさ。生理的に受けつけないみたいな。でもさ、そいつを見てることで無意味にイライラしたり、どうでもいいようなささいなことで文句言ってやろうと血眼になって粗を探してても、別段何も生まれてきやこないし、お互いがくんと消耗するだけなんだよね。つまることろは、究極の無駄なんだよ。


 でね、少し前に先輩から、人間関係においての提言として、「どんなに気に入らなくても、自分の子どもだと思って接してやるべし」みたいな御言葉をもらったことをふと思い出したんだ。そのときは、僕には子どもがいないから、いまいちピンとこなくて、ふうん、くらいにしか記憶してなかったけど、少し角度を変えて、「コイツにも両親や兄弟がいて、そんで家族からは、それ相応の愛情を享受してるんだろうな」とか「もし僕やまわりのみんなが、コイツをひどく冷たくあしらったとしても、親だけは最後まで味方でいてあげるんだろうな」とか考えると、なんとなくその意味するところがつかめたような気がしたんだ。すると、ある程度どんくさい奴でも、否、相当しょうもない人間でも、それなりには応援してあげようとか、もう少し接し方を変えてあげねばな、って思ってくるんだよ。不思議なことにね。こういうのが、チームワークと呼べるものの土台なんだろうな。「そこにいる人間を愛する能力だ」ってのだよ、きっと。


 チームをまとめる立場の人間に必要なのは、小手先や口先だけの言葉力じゃなくて、考え方とか姿勢、まあ、こう言ってしまうと、すべてがそうかも知れないけど「人間性」なんだろうね。そのバックボーンがあっての「言葉」って順番だろうね。


 僕らがとある偉人の名言なんかを目にして、それだけで感動したりするのは、その偉人の生き様をある程度理解しているからなんだよ、きっと。だから、自分が感銘を受けた言葉だからといって、それをいつか他人に使ってみたところで、同じ影響力があるとは限らないわけさ。だって、僕の好きな有名人のことを、他の誰かも同じように知ってるとは限らないからね。つまりさ、四六時中関わり合ってるメンバーであれば、その間にみせる人柄によって、単なる「お、やるじゃん」という言葉でも、「これだけの成果なのに冷たい人だ」なのか「あの人はちゃんと見てくれてる」なのか「少ない言葉の中にもあたたかみを感じる」などと、印象も違ってくるんだろうね。だからね、自分の「言葉力」を磨きたいと思ったら、常日頃から、自分の立ち居振る舞いに注意して、大事にしておかねば、ということさ。薀蓄じゃないってことだよ。