のび太が僕らに与えてくれるもの

◆ドラえもん史上最高の大長編ランキングlivedoor リスログ


※参考
■東京IT新聞(2007.02/08)


1位 のび太と魔界魔界大冒険(1984年上映)
2位 のび太と鉄人兵団(1987年上映)
3位 のび太の海底鬼岩城(1983年上映)
4位 のび太の恐竜(1980年上映)
5位 のび太の宇宙小戦争(1985年上映)
6位 のび太の日本誕生(1989年上映)
7位 のび太の大魔境(1982年上映)
8位 のび太のパラレル西遊記(1988年上映)
9位 のび太の宇宙開拓史(1981年上映)
10位 のび太と竜の騎士(1987年上映)


 まあ、僕くらいの年代の人間は、少なからずドラえもんの影響は受けていると思う。僕が生まれてはじめて映画館で観た映画というのは、1984年ののび太と魔界大冒険』で、それ以来春休みには決まって家族で映画館に出かけていた。特に、その後に続くのび太の宇宙小戦争』『のび太と鉄人兵団は思い入れが深い。この3作品を大長編史上の名三部作としてカウントしている人は僕以外にも多いのではないかと思う。僕はスクリーンの中ののび太の一挙手一動足に注目し、そこに自分を重ね合わせていた。魔界へ乗り込んだり、宇宙を旅したり、悪いロボット達と戦ったり……。


 しかし通常のドラえもんでは、のび太はどちらかと言えば、というか、積極的にどうしようもない人間だった。便利な道具があってもオチとしてヘマをして終わることがほとんどだ。


 そう考えると、のび太という存在は、当時の小学生のスケープゴートだったように思う。つまり、自分がちょっとくらいテストが悪くても、運動ができなくても、いじめられっ子になじられても、のび太よりはマシだろう、ははは。みたいに。


 そこへ毎年春、この大長編となると、のび太は最後の最後、いざという場面で輝きを放つ。そして「ああ、のび太みたいになりたいな」と僕らは思い、両親に手を引っ張られながら映画館を出る。のび太は無意識のうちに、都合のいい優越感と、ほどよい劣等感を僕らに与えてくれていた。


 幼い子どもにとっては、絶対に誰かをバカにすることで、自分に息継ぎをしなければいけない。誰かに憧れることで、背伸びをして成長しなければいけない。そういった存在が、のび太だったように思う。


 というか、息継ぎと背伸びは大人になっても絶対的に必要である。大人の方がストレスを溜めやすいし、大人だって成長し続けなければいけない。まだまだ、僕にはのび太という存在が必要なのかもしれない。


◆映画ドラえもん 公式サイト 『のび太の新魔界大冒険』


※参考
◆ドラえもん映画作品Wikipedia