あの頃僕らは12歳だった


 金沢で同窓会があった。同窓会といっても高校でも中学でもない、小学校のクラス。まあ、普通あんまないよね、小学校の同窓会なんて。でもまあ、やっちゃダメなわけでもないから、声かけて、先生含め11人集まった。不思議なくらいみんな変わってなかった。


 副会長だった女の子は、芦屋で三児のマダムやってるらしい。入ってくるなり「わー、みんな全然変わってないから誰が誰かすぐにわかるけど……、おっさんになったね」と遠慮のない意見を述べた。その子と仲の良かった絵の上手だった子は、地元のデパートの文房具売り場にいるらしい。日曜日の朝は「獣拳戦隊ゲキレンジャー」とかを必ず見ているらしい。ピアノが上手で頭の良かった子は、結婚して名古屋に行ったらしい。その子といつも一緒にいた子は、地元で看護士さんを続けているらしい。この2人はやっぱりこの日も一緒に登場して、ずっと隣に座ってた。僕が小学校6年間ずっと同じクラスだった女の子は……、あ、何やってるか聞かなかったな。金沢にいることと、「いいヒトいない……」とため息漏らしてたのは覚えてるが。女子はだいたい苗字変わってるんだよね。でもまあそんなの関係なく昔の名前で呼んでたけどね。


 足が早く常にリレーのアンカーだった男は、関西の方でJRに勤めているらしい。やはり早く走ることにこだわりを持ち続けているのだろう。いつも半袖半ズボンだった男は、この日も半ズボンでやってきた。多分ベスト半ズボン・ドレッサー賞とかあれば、彼はノミネートされるだろうね。まあ、そんな賞ないけど。半分眠ったような目つきで、ちょっと浮いた感じの男は、相変わらずワンテンポずれた発言を繰り返していた。クラスの会長だった人間が、何だかんだ言いつつもうまいこと取り仕切ってくれた。


 先生もまったく変わってなかった。まだ現役でやっているらしい。残念な具合にばあちゃんになってることもなく、いくつになったのか知らないが、まだまだきれいな人だなと思った。若い子(というか、小学生だが)と接していると、老けないのだろうか。


 でまあ、僕はというと、調子に乗って日本酒をグビグビ飲んだ結果、記憶が飛んでて、気がついたら朝の8時で自分の部屋のベッドだったと。最後はみんなどんな風に解散したのか、そもそも先生にちゃんと挨拶したのかすら覚えていない(多分してないと思うが)。金払った記憶も、タクシーに乗った記憶も無い。あげくデジカメを持っていったのに、写真は1枚も撮ってないというアリサマ。誰か撮ったのかな。そんな気の利くのはいないか。


 小学校の5〜6年のクラスなのだが、結局このとき好きだったものや、このときにあった個性が、みんなそのまま今の人生や職業に繋がっているような気がする。僕も高校や大学のときにバンドとかやってたけど、今ではそんなことはやってないし、どちらかというと小学校の頃に漠然とでも想い描いていた自分というものに、今、近い位置にいるような気がする。


 またいつか集まるのかな。何となく集まる気がするな。結局みんなここに帰ってくる。そんな場所のような気がする。