全国制覇33回、無敵の能代工高を築いた男



 僕はスラムダンク世代だが、そこまで熱心に読んでいた方ではないし、そもそも最後どうなかったかも知らない。


 まあ、そんなバスケ音痴な僕でも能代工高が神バスケ高校であることくらいは知っている。日本の高校バスケ能代工高しか優勝してないのではないかと思うくらいの常勝チームを、どんな人間が指導しているのか、昔から興味はあった。で、最近その能代工高の加藤三彦監督が実業団の監督に就任するというニュースが流れたので、少しググってみた。


 最初の能代工高の黄金期を築いたのは加藤廣監督。実に1960〜1990年の30年間の在任中に全国制覇33回、そのうち全国高校選抜、インターハイ、国体優勝の三冠王を5回、インターハイ7連覇など、前人未踏の記録を次々と打ち立てた。この加藤廣志氏が書いた本がこの『日本一勝ち続けた男の勝利哲学』である。まあ、まったく大袈裟でも誇張でもない見事なタイトルだと思う。


 で、まあ、この記録もすごいのだが、初代加藤廣志氏の後を継いだ先の加藤三彦監督もすごい。同じ加藤姓だが別に親子とか親戚とかではなく、加藤廣志氏の教え子であり、1980年に三冠を成し遂げたチームのキャプテン。1990に能代工高のチームを受け継ぎ、2007年までのの18年間の在任中に全国制覇25回。1996〜98年には、田臥勇太を擁し3年連続で高校三冠を達成するなど、能代工高の強さと伝統を完璧なまでに引継ぎ、そしてそれ以上の結果を残したと言っても過言ではないだろう。この2人の加藤監督にとって低迷期などないに等しい。


 まあ、これらすべての基盤をつくったのは初代加藤廣志監督で、氏の「勝利哲学」をまとめたのが、この一冊。一章一章がとても短いので、少々消化不良な一面もあるかもしれないが、とても説得力のある力のこもった言葉が散りばめられている。別にスポーツが好きでなくても、充分に勉強になると思う。


 それにしても友川かずき能代工高バスケ部出身だとは知らなかった……。


◆能代工高バスケ部加藤監督が2度目の卒業<nikkansports.com(2008.04/01)


田臥勇太