ポジションの本質へ。@カッコいいCM


ZETT 創刊。


 ZETTの「ポジションの本質へ。」と題されたシリーズCM。とてもシンプルでセンスがあると思うし、ひたむきな泥臭さが感じられて良い。別に雑誌が創刊されたわけではないが、「創刊」という言葉で全10編を括っているのもおしゃれに思う。

 ピッチャーは、ひとり、
 エースという称号をもらう。


 ピッチャーは、ひとり、
 一番高い場所に上る。


 キャッチャー。
 それは、なかなか完成しない生き物。


 野球の華と言えば、打撃だろう。野球を観るときは、ヒットが出たり得点が入ったときの攻撃時の方が当然エキサイトする。だから、トイレで席を立つのは贔屓チームが守備についているときがほとんど。しかし、実際にプレーしている選手にとっては、9人打者がいる中の1人でしかない攻撃時よりも、常に“その”可能性のある守備の時間の方が、緊迫感があり、「野球をやっている」という実感があると言える。だから、スポーツ用品をPRしたいZETTは、「野球を観る人」ではなく、「野球をやっている者」の心をくすぐり、そして熱くする、とてもいい切り口のCMをつくったと思う。

 ファーストは、
 そのフィールディングで流れを変える。


 セカンドは、
 0.1秒の世界に身をおく人。


 サードは、カラダも
 道具の一部にする。


 ショートは、センスか、努力か。


 もちろん打者にもそれぞれ役割やタイプがあるが、野球においては、そのプレーヤーの個性や魅力というものは、ポジションにこそ表れる。機敏な動き、正確なキャッチング、矢のような送球、的確なカバーリング、ガッツ、賢さ、冷静さ、統率力、判断力、読み……。それぞれの守備位置についているのは、そのチームのおける切り札だ。「そのフィールディングで流れを変える」切り札であったり、「0.1秒の世界に身をおく」切り札だったりと。だから、1人1人順番に登場する攻撃時よりも、全員がグランドに散らばっている守備のときの方が、「野球をやっている」という実感を僕は感じるのである。

 レフトの誇り。
 それは、試合を決めるワンプレー。


 センターの美意識。
 外野手というポジションは、ない。


 ライトの後ろに、味方はいない。


 てか、スポーツ関連の広告って、どこもセンスのあるものが多い気がする。アディダスやナイキの広告も、観ていてとても感心するくらいカッコいい。


 とか何とか言いつつも、最後に打者の話。これらフィールド・プレーヤーに立ち向かうたった1人の人間のコピーを考えるとしたら、こうだろう。


 スラッガー
 それは存在感。


◆製品紹介|CM<野球を科学する。ゼット株式会社