31歳、11年、0本


 31歳になった。1997年に東京に出てきて20歳の誕生日をむかえてから早11年経ったことになる。そしてそんな今日はちょうど野球のダブルヘッダーだったが、ヒットも0本だし出塁すらできなかった。まあ、誕生日だからといって必ずしも良いことが起こったり、素敵な思い出が残るなんてことはない。それは1年のうちのただの1日に過ぎないし、誰にでも平等に良いことと悪いことがおとずれるものである。世の中は公平なのだ。


 で、そんな誕生日の1日前に事実上の退職。これから10月1日まで3年ぶりの無職という按配だ。で、10月からは金沢に帰る。東京生活もあと数週間で終わる。重松清の『セプテンバー'81』という小説で、「田舎から東京に出てくるのは簡単だが、東京から田舎に帰るときは本当にしっかりとした理由が必要だ」みたいなくだりがあるのだが、まあ、まさにそんな感じだろう。東京へは、大学に受かったから、遊びたいから、親元を離れたいから、なんとなく、みたいな適当な理由を並べられるのだが、今回はそうはいかない。帰る理由というのは出てくる理由よりも確固たるものでなければいけない。


 まあとにかく、ひとつだけ言えることは、東京は充分楽しんだということだ。今となっては金沢の知り合いよりも、東京の友達の方が多いし、濃い付き合いをしている。でも、これ以上東京にいても、もう自分ができることはないような気がしてきたのだ。だから自分が生まれた所に帰る。単純な方程式だ。


 これからとりあえず金沢に一旦帰省して、土曜の野球に戻ってきて、送別会がやんやとあって、台湾に行って、引越しだ。得意の流浪のひとときを楽しもうと思う。