No moving, No changing


 僕は別にオバマ氏のことを支持しているわけでもないし、支持していないわけでもないんだよね。政治のことはからっきし無知だからね。ただとにかくひとつだけ気になる点があって、彼自身のキャッチ・コピーのようにもなっている「チェンジ」とういう言葉がどうもひっかかるんだよね。つまりね、僕は「変化」というものが魅力的だとは思わないんだ。まったくね。


 というのはね、「変化」は必ずしもプラスに作用するとは思ってないんだよね。僕は「現状維持」だって立派な前進のひとつだと思うし、生きていく上で選択しうる最善の策のひとつだと思ってるんだ。たとえばだね、君が重い病気にかかってしまったとしよう。その場合の「変化」は回復だけでなく、悪化をも含んだ意味合いになるわけさ。いや、むしろそういう場合では往々にして、悪い方向への「変化」しか存在しないんだよ。つまり重い病気の場合はね。だから、こういうケースでは、得てして「現状維持」がベターだったりするわけさな。


 もちろん「変化」が大事なこともあるだろうけど、そのためには、ひとつ手前のステップを無視してはいけないと思うんだ。「変化」であろうと「現状維持」であろうと、まずは、自分自身が「動」かなければ何も起こらないんだよ。わかるかな。


 つまりさ、「チェンジ」のことばかり考えていたって何も変わらないんだよ。とにかく結果を恐れずに「動く」こと。動かなければ良い意味での変化も起こらないだろうし、良い意味での現状維持も保てない。それが大事なんじゃないかなと僕は思うわけさな。僕もこれ以上年をとっていく上で、今の体力や気力もどんどん衰えていく。そのために何を望むかといえば現状維持であって、そのためにそれ相応の努力を支払わなければならないと思ってるんだ。努力なんて嘘くさいこといったけど、つまりは考えて行動するってことだね。やっぱり「動く」ことなんだ。「重力」に逆らって、「動」かなければ、僕らは衰えていく一方なんだよ。わかるかな、金八みたいなこと言ってみたけどね。


 まとめるとだね。2008年、今年を表す僕にとっての漢字は――『動』。つまりそういうことなんだよ。

◆今年の漢字は「変」 首相交代や経済環境の急変を反映<NIKKEI NET (2008.12/12)


 日本漢字能力検定協会京都市)は12日、2008年の世相を象徴する「今年の漢字」が「変」に決まったと発表した。首相の交代劇や、米リーマン・ブラザーズの破綻が引き金となった世界的な経済環境の急変などを反映した。

 11月1日から12月5日にかけて全国公募したところ11万1208通の応募があり、「変」が6031票(5.4%)を集め首位になった。応募者が「変」を選んだ理由としては、ガソリン価格の急騰・急落を始めとする物価の変動や、「チェンジ(変化)」を掲げたオバマ氏が米国の次期大統領に決まったことなども挙げられた。
(後略)