人脈について



『抜擢される人の人脈力 早回しで成長する人のセオリー』岡島悦子


 よくさ、「僕はとにかくいろんな人と逢って話をするのが好きなんですよ」とか言う人がいるけど、僕はまったく共感できないんだよね。できることならこの先一生、気の知れた人とだけの付き合いで過ごしていきたいとか思ってるタイプだからね。何を好きこのんで、ぎこちない挨拶を交わすところからはじめて、「どこの出身ですか?」とか「どこに住んでますか?」とか、一回聞いてもすぐに忘れるような質問を踏まえ、相手の様子を探りさぐり会話をして、そんで仲良くなるかならないかわからないような面倒くさいことをしなきゃいけないのかって思うわけさ。でもまあ、そういうのは子供の考え方で、人との付き合いってのは多いに越したことはないし、むしろ多くなければその人の器が小さいみたいに見られちゃうんだよね。まいったもんだよ。


 だからね、友達や付き合いのある人ってのは多いほうがいいし、その中でもビジネスに関連する「人脈」は、とても重要だってことなんだよ。つまりさ、君が今日死んでしまったとしたら、明日仕事を休んでまでも葬式にどれだけの人が足を運んでくれるか。いや、せめて電報だけでもごっそり届けてもらえるか。そういう人をたくさんつくっておくべきなんだよね。


 で、そんな人脈づくりのノウハウがこの本には書かれているわけだけど、ただ思ったのはだね、こういうヘッドハンティングの観点から見た自分の価値を高める人脈づくりって、田舎じゃちょっと現実的じゃない部分もあるなって思ったんだよね。そもそもね、人口が少ないと、小さくまとまった仲間意識、村意識みたいのが強いから、都会のガツガツした連中とは色合いが違う気がするんだよ。横の繋がりがなくても、俺らは俺らでやってくよ、みたいな。それに、競争意識も希薄だしね、人がいないと。


 まあ、そんな愚痴を言ったところでしょうがないんだけど、自分をよく見せる術は知っておいて損はないから、読んでおくことをおすすめするよ。まじで。