海外について。


 僕はね、そもそも旅行的なものが嫌いじゃないんだ。そもそもね。ぼそっと知らない土地に行って、何をするでもなくのこのこと歩いたりもそもそと飯を食ったりってね。ホントは、その土地の人と「どこから来たんですか?」とか「いい所ですね」といった会話をすればベストなのかもしれないけど、そんなテレビ番組のようなことはななかったけど、それでも充分なわけさ。たまたま前の仕事では定期的にいろんな地方に出向くことがあったから、そういう時間を楽しませてもらったよ。旭川、八戸、水戸、名古屋、神戸、福岡、宮崎、沖縄とかね。


 でさ、僕がこれまでの人生の中で唯一後悔に近い思いを抱いてることがあって、それは海外旅行をしてこなかったことだね。つまりは、大学時代の時間を持て余してる時期にってことだよ。あげく僕の場合は、大学時代どころか24〜25歳まで時間だけは人一倍余裕があったからね。まじ。



 なんでこういう話を唐突にはじめたかと言うと、知人が1人でふらっとニューヨークに行ったというんだよ。こういう話を聞くと無性に自分もどこか遠くに出かけてみたくなるよね。僕はいつか、ニューヨークとエルサレムには行きたいと思ってるんだ。うん、あと、リヴァプールもね。いつになってもいいけど、いつかは絶対に行ってみたいね。いや、まあできれば早い方がいいかな。


 もし君がまだ20歳代前半で学生とかやってるなら嫌というほど海外に出てみた方がいいと思うよ。それもなるべく1人で、何も頼る者がないという開放感と緊張感の中でね。僕はあんまり後悔とかしないタイプなんだけど、国内ばかりじゃなくて、海外にも出ておくべきだったなとは思ってるんだ。若く、吸収力のあった時分にね。