野球とは、――2008年春



『プロ野球の一流たち』二宮清純


 これはね、最高だね。とてもいい本だよ。2008年の春にリリースされたものだから、「古さ」のにおいが出ない今のうちに読んでおいた方がいいと思うよ。


 何が最高かと言うとね、この本では大きく前半と後半でその色合いが変わってるんだ。前半は名将や名選手に関するインタビューやルポ。後半は日本の野球界が抱える問題、つまりは選手の大リーグ流出や裏金問題とかそういうやっかいな部分を斬ってるってわけさ。なんとも内容の濃い一冊なんだよ、まじで。


 でね、よくよく考えてみると、2004年近鉄バファローズの消滅と楽天イーグルスの誕生。2005年には四国アイランドリーグ発足。2006年には第1回WBCが開催され、その年のオフには約60億円もの契約で松坂のメジャー移籍。2007年には、裏金問題や特待生問題が勃発し、アメリカではバリー・ボンズをはじめとした薬物問題……。ここ数年だけでも、野球を取り巻くニュースってのはプロアマ、日米、明暗問わずいろいろあったわけなんだよね。後半ではさ、こういった数々の出来事に対して丁寧に触れていってるわけさ。これは、君も読んでおいた方がいいよ。前半は楽しく、後半は考えさせられる、そんな構成なんだよね。


 で、なんだかんだと書きながらもラストは独立リーグの可能性を言及して締めているわけだよ。いろいろ問題はあるけど、新しい可能性も生まれてきているってね。こういう終わり方って気障でいいよね。うん、二宮清純は好き嫌いが分かれるところかもしれないけど、僕は好きだな。