お正月とは


 小学生くらいのときのお正月ってのは、なんか窮屈なイメージがあったんだよね。おいしくもないお節料理を突き出されたり、よくわかんないけど親戚の家に行かなきゃいけなかったり、あげく遊びたいと思う友達の家に行くことは何故かタブーとされてたからだろうね。ただ、大晦日も含め、学校が休みということと年賀状、お年玉がもらえるという楽しみくらいはあって、そういう「特別な」数日間であることは感じてたね。家族はもちろん、日本、世界中がいっせいに何かを待ち構え、それを享受してる時間ってな感じでね。


 でもそんな十数年を経て、中学くらいになるともう1月3日くらいから部活の練習だってんで、学校に出かけてた気がするんだよね。そのあたりからだね、別に正月だからって特別でも何でもないんだなって思うようになったのは。世界規模でおめでたい気分になってたって、中学の部活があったら行かなくちゃいけなんだなと。んで、実際年越しの瞬間だって、この瞬間だけは寝ないで起きているもの、そして0時0分の瞬間を待ち構えて、ダイブするような気持ちで新年を迎えるものと思ってたけど、一人暮らしをするようになってからは、疲れてコロッと寝てることも多々あったしね。うん、そうだよ、ちょうど2000年から2001年になるときかな。20世紀から21世紀になるという、まさに字のごとく世紀の瞬間だってのに、気づいたら0時13分とかで、21世紀になってたんだよね。「ああ、こんなもんなんだな」と強く思ったことを覚えてるよ。別に僕が心の準備をしてなくたって、新年はやってくるし、年越しとか正月だからって、クス玉が割れたり、サプライズ・ゲストが登場したりしないんだなって。



 そんなわけで、今となっては「お正月」というものに、なんら特別なイメージはなくなってしまったんだよね。というか、みんながわいわいやってるから、俺はお前らには同調したくないって気持ちの方が強いかな。別にわいわいやったって、何か出てくるわけでもないわけだからね。