倉ヶ岳@山奥ドライブ


 今日もね、山奥にドライブに行ってきたんだ。今日はね、倉ヶ岳という所まで行こうって決めてたんだ。このターゲットはね、先日、「倉ヶ岳って知らない? 一応金沢だけど、山奥にあるとこだよ」みたいな会話が偶然聞こえて、俄然興味を覚えたってわけさ。わかるよね、「金沢だけど、山奥にあるとこ」ってのが、キーポイントだよ。


 でね、GoogleMapsで調べたんだけど、お目当ての倉ヶ岳ってトコはね、山環こと山側環状の窪あたりから山の方に入って根気よく進むと行けそうなんだよ。位置的には獅子吼高原よりも金沢よりで、ちょうど金沢市白山市の市境にあたるところだね。



 で、意気揚々と向かったわけさ。道はね、菱池小原周辺よりかは整ってて走りやすかったけどとにかく雪が深かったね。途中1台の対向車とすれ違ったけど、無限ループかってくらい孤独感があったな。んでね、行けども行けども雪しかないところに、突然ロッジみたいな喫茶店が登場するわけさ。で、その先も別の脇道も行き止まり、というか雪止まりで、折り返す他なかったので、せっかくだからその喫茶店に入ってみたんだんだよ。するとさ、「そんなのわかってたよ」っていうような想像通りの老夫婦がやってたんだよね。なかなか雰囲気あってよかったよ。山奥の喫茶店でいかにもって雰囲気はね。名前もそのまま「喫茶倉ケ岳」だしね。



 で、おばちゃんの話によると、この辺は冬になると、雪で道がふさがってしまってココ以上はどこにも行けなくなるんだってさ。まあ、実際ホントにどこにも行けなかったから、この喫茶店に入ったんだけどね。で、倉ヶ岳に来る手前には坪野という集落があったんだけど、そこの人たちは冬になると山を降りていくんだって。通勤や生活に不便だからね。たいてい、ここら辺の人ってのは金沢の街中にも家を持ってるとか言ってたよ。アルプスの少女ハイジで、「人々は冬になると山を降りていく」って話聞いたことあるような気がするけど、それと同じことをやってるわけさ。


 でね、思い切って訊いてみたんだ。お客さんってどういう人が来るのか、ってね。こんな雪の深い山奥で、しかも近所にも家が2〜3軒しか立ってないような場所なんだからね、ここは。で、おばちゃんが言うには、ほとんどが顔なじみの常連さんだってね。まあそれが山奥だろうと金沢だろうと東京だろうと、町内のお店ってトコはどこも「顔なじみの常連さん」によって成り立ってるんだけどね。でもね、おばちゃんがさ、そういえばここに来る途中で車とすれ違わなかったかって訊いてくるんだよ。確かにすれ違ったと返事すると、そのドライバーはさっきまでこのお店にいたって言うんだよね。どっか麓の方の人らしいけど、わざわざこんな所まで来る常連さんとは良い客を持ったもんだよね。で、続けて語るんだ。春になると人がたくさん登ってくるし、夏も涼しくて心地よく、秋もまた秋で紅葉がきれいで見事だってことなんだよってね。そういうわけで、何かと需要はあるようなんだよ、この喫茶店も。でも冬だけは雪ばっかりで人も来ないし何にもないから退屈でつまらんって。1月にはじめてやってきた僕に言うんだよ。まあ別にいいけどね。話を振ったのは自分だからね。



 まあとにかくさ、この喫茶店を出るときに、また春か夏になったら来ます、と言ったけど、それは嘘っぱちなんかじゃないね。ホントに心からそう思ったね。だから、伝えないといけないな、と思っておばちゃんに言ったんだ。「また春か夏になったら来ます」てね。春が、待ち遠しいね。



◆喫茶倉ケ岳食べログ