クリス・アンダーソン著『FREE』感想



『FREE <無料>からお金を生みだす新戦略』クリス・アンダーソン


 この著者は「ロング・テール」という言葉・概念を生み出した人らしいね。まあそんなことも知らずに読んだんだけどね。で、今度は「フリー」だというのだが、これってどういうことかというと、サービスを「無料」にすることで、「利益」を生み出すという魔法のようなロジックなわけだよ。もう興味津々だよね。


 まあ内容に関していちいちまとめたりしないけど、僕が一番共鳴したのは、「無料」で人の注意を引きつけ、母数を確保することに意味があるって部分だね。何をするにもね、最初に大事なのは、質より量だと思うんだ。楽天イーグルスだって、たくさんのお客さんがいてこそ強くなれたわけだしね。北海道のファイターズや福岡のホークスもそうだと思うんだ。まあこれらのチームが無料で集客したかどうかは知らないけど、とにかく人が集まれば、何かが起こるんだよ。絶対に。

 フリーは市場の流動性の機能を高める。(中略)フリーは人を引きつけ、それがもらたらす市場の効率性は人をとらえて離さないのだ。

 「流動性」という言葉はは金融用語だと思われているが、人々のつながりに関するどんなシステムにも当てはまる。テクノロジーにおいて、それは「規模」と呼ばれている。つまるところ、「多ければ多いほど差が出る」ことを意味する。もしある学校の六年生一〇〇人のうち、わずか一パーセントしか卒業アルバムの製作を手伝わなかったら、アルバムは完成しないだろう。だが同じ割合でも、ウィキペディアの訪問者の一パーセントがみずから項目を書こうとすれば、それはかつてないほど貴重な情報の倉庫になる(実際は、ウィキペディアの訪問者で投稿するのは一万人に一人にすぎない)。多ければ多いほど差が出るとは、全体が大きければ小さな割合でも大きな影響を与えられることだ。だから、多いことはいいことなのだ。


 ただ、残念なの点が2つばかしあって、ひとつは、とても分厚い書籍なので、読んでて疲れてくることかな。疲れるというのは、フィジカル的にもメンタル的にもね。で、もうひとつがやっかいなんだけど、この無料から利益を生み出すって理論は、ベテランのビジネスマンにとっては理解し難い部分もあるということかな。だからね、ここに書かれていることが即自分の仕事でも応用できると思ったら大間違いだということさ。