「映画ドラえもん のび太の人魚大海戦」を観た


 僕にとってのドラえもんはすべての原点であってアッラーのような存在であり、春の映画に関してはエルサレム巡礼のような一大イベントなんだよね。これほんとだよ。


 とはいえ、上京して間もなく藤本先生逝去により、映画も藤子プロのスタッフの書き下ろしになったということで興味を失い、んで挙句の果ては、声優陣総替えによって、さらに関心をなくしてたんだよね。でも今年は、映画30周年で、久しぶりのオリジナル・ストーリーということで、聖地巡礼に出向いたわけさ。ちなみに、2008年「のび太と緑の巨人伝」は、僕にとってはコミックで馴染みのある「さらばキー坊」が原作となっているので、僕の中では「オリジナル・ストーリー」とは思っていないんだよ。ココ注意してね。


 でね、感想としては、やっぱりトーンが変わりすぎていて、僕の知ってる、僕が期待しているドラえもんじゃないな、と少しがっかりしたね。まあこれを「時代」という理由で片付けるのは簡単だけど、もう少し踏み込んで考えてみると、こういう見解に行き着いたんだ。僕はもうドラえもんを観る立場ではなく、観せる側の立場にあるんだろうなと。


 事実僕がどうしてドラえもんの映画に強い思い入れがあるのかというと、ドラえもんが好きだったということはもちろんだけど、両親と映画館に行ってドラえもんを観たという思い出が鮮明に残っているからだと思うんだ。映画の後は、名前は忘れたけど昔の大和の裏あたりの決まったお店でハンバーグを食べるというこの一連の行事のことがね。でね、何回か目からは、妹も加わって4人での映画鑑賞になって、それがいつまで続いたか覚えてないけど、とにかく大長編ドラえもんよろしく、みんなで一致団結するというとても興奮した時間だったんだ。すべてにおいてね。


 多分、ドラえもんからもらえる僕に似合ったひみつ道具はもうないんだろうね。でもね、そのひみつ道具貴重な体験を演出することはできると思うんだ。小さい子どもを喜ばすというね。だからね、僕に子どもができたら、これは絶対に、家族総出でドラえもんの映画を観に行かないといけないなと思ったね。それが何年後になるかわからないけど、僕がドラえもんから何かをもらえるとしたら、こういう時間とか思い出づくりなんだろうな思ったよ。


◆2010年は映画30周年! 「映画ドラえもん のび太の人魚大海戦」 公式サイト