村上春樹著『ねじまき鳥クロニクル』感想



『ねじまき鳥クロニクル(第1部)』村上春樹


 再読完了。『1Q84 BOOK3』発売までに読み終えておこうと思ったけど、2日ばかりオーバーしちゃったね。ダブル・ボギーってとこだね。まあとにかくさ、この物語を読み通すのは14回目くらいになるけど、読めば読むほど深みが出てくるよね。まあ、これだけ長ったらしければ、当然忘れたり抜け落ちてる場面や集中力の低下から斜め読みしちゃってる部分もあるだろうから当然だろうけどね。まあ、とにかくさ、今回の発見でも箇条書きしておくとするよ。君もいつか、ねじまき鳥を読んだり再読する際には参考にしてくれよな。

  • 『心臓を貫かれて』がひとつのモチーフとなっていることを感じた。否応なしに受け継がれていくもの、選択の余地なく定められているもの。つまり「血」。薄毛の人たちのくだりも、この「血」であり「DNA」のメタファーのはず。そして、汚されたり、損なわれたというのも、「血」のことではないかと思う。
  • ノモンハンの戦争の「呪い」のようなものが、井戸を通じて、「首吊り屋敷」、強いては主人公の生きる世界に侵食してきた。
  • 主人公と綿谷ノボルが対の力を持っているように、サワラとねじまき鳥も対の関係にあるように思う。サワラが正の兆候。ねじまき鳥は負の兆候。
  • 間宮中尉が、主人公に自身の身の上話を打ち明けるのは、クミコが主人公に対してできなかったことと対になっている。
  • 「真夜中の出来事」で語られる少年のエピソードがどこと繋がっているのか不明。と思ったが、これはシナモン自身のエピソードのようだね。
  • 戦争のエピソードがマックス・へヴィ。すべての「呪い」「汚れ」「損い」がノモンハンからはじまってる。
  • 主人公にとっての綿谷ノボルというのは、間宮中尉にとっての皮剥ぎボラスなのでは。


 まあこんなとこだよ。とにかく僕は「血」「繰り返す」ってことを強烈に考えさせられる物語なんだよ。


※参考
◆ねじまき鳥クロニクル(村上春樹)<食事を抜いて、この本を読め!!
◆ねじまき鳥クロニクル<本棚の周辺
◆ねじまき鳥クロニクル論[PDF]