仕事をやめて、街を見よう


 僕の会社は5階建てで、まわりは比較的何もないから見晴らしがいいんだよね。4階や5階の窓からは、片町の北國新聞ビルはもちろん、遠くには県庁なんかも見えるんだ。で、花火の時期になるとけっこうグッドな鑑賞スポットになるんだよね。でさ、たまに何を見るでもなく、ぼおっと夕方の景色なんかを眺めることがあるんだけど、これがなかなかがあって良いんだよ。うん。でね、思ったことがあるんだ。


 例えばさ、GoogleMapsのように真上から街を見下ろすと、当然のことながら遠近感ってものが感じられないよね。また高い建物がどの程度高くて、どの程度存在感があるのかってわかんないよね。まあ、わかったとしてもわかりづらいと思うんだ。またね、六本木ヒルズのような展望台の高さからでも同じだね。はるか遠くの建物が見えたとしても非現実的で、他人事のように感じちゃうんだ。



 そう考えるとね、5階くらいの建物から眺める街ってのは、とても現実的な景色なんだよ。特に夕方のオレンジを含んだ景色ってものは、なかなか眺めがいのあるもんなんだよね。君は知ってたかな。多分ね、自分がそこに含まれているって自覚があるからだろうね。この街にいる自分が、この街を眺めているってね。それがビルの5階くらいの高さがベストなわけさ。それ以上高いと非現実的だし、それ以上低いと遠くの景色なんて見えないからね。


 だからね、暇つぶしにGoogleMapsを眺めて遊んでみたり、デートスポットとしてどこかの展望台に夜景を見に行くのは、それはそれで悪くはないだろうけど、1人でぼおっと気分転換をするとなると、5階くらいの高さから自分が含まれている街の夕焼けを見てみることを強くおすすめするよ。