「仕事だから」というセリフについて


 だいぶ前から僕は「仕事だからちゃんとしよう」とか「仕事なんだからさぁ、がんばろうよ」とかいうセリフがどうも気に入らなかったんだよね。同じように「(待ち合わせに)仕事で遅れます」とかいうのもね。


 でね、最近、気付いたんだよ。「仕事だからがんばる」=「これが遊びだったら適当でもいい」って力関係が透けて見えるから受け付けられないんだなってことをね。以前「働きマン」って漫画を読んだときも、全然入り込めなかったし、感情移入できなかったのは、仕事モードだか仕事スイッチだか忘れたけどそれってナンだよって、じゃあ普段は何モードなんだよって、そういう「仕事」を特別扱いする姿勢が受け付けられなかったんだよ。



 こういう偏屈な考え方になったのは、僕が大学時代に就職活動して、気持ちを切り替えて社会人に、というステップを踏んでないからだと思うんだよね。もう今日からは学生気分じゃいけない、立派な社会人なんだ、って区切りがなかったんだよ。だって僕は学生時代からの「バンド遊び」をそのまま仕事にしたいと思っていた人間で、あげく大学も途中で行かなくなったし、そのままフリーター的な身分でふらふらしてたわけだからね。仕事と遊びの区別が全然つかないんだよ。今でも。


 でもね、僕は全部繋がってると思うんだ。遊んでて得た経験値は仕事でも使えるし、逆だってもちろんありうるわけだしね。さらには、食事や睡眠だって仕事とも遊びとも関係してるはずだからね。だって健康じゃないと何にもできないだろ。だからね、仕事だからちゃんとやらなきゃいけないってのが、どうもしっくりこないんだ。そりゃ君のように情熱的な人間から見れば、「オマエは何だかんだ言ってるけど、どっちもヌルい!」のかもしれないけど、そもそも仕事だから、遊びだからでそこに温度差を設けられるほど器用な人間じゃないんだよ。


 まあ日本人にとってみれば「仕事」は宗教みたいなもんだからしょうがないのかもしれないけどね。でももっとみんなリラックスしてやろうぜって言いたくなるよ。君が居なくたって、君の会社はもちろん、世の中はちゃんと動き続けるわけだからさ。仕事だからって特別扱いせずに、すべての物事においてベストを尽くせばいいと思うんだよね。我が中日ドラゴンズのマサさんのようにね。