日本人のアイデンティティ


 ニューカレドニアという国に行ってきたんだよ。君はニューカレドニアって国、知ってるかな。オーストラリアの横っちょ、ちなみに右の横っちょにある小さな観光カントリーだよ。日本の四国くらいの面積だってガイドのおっさんが言ってて、同じことはガイドブックに書いてあったね。まあ、僕は四国の人間じゃないから、そんなこと言われてもたいしてピンとこないけどね。



 で、とにかくさ、ニューカレドニアという国に行って、ひとつ気づいたことがあるんだよ。それはね、日本人は裕福で恵まれた人種なんだなということさ。というのもさ、どこに行っても日本人観光客がいるし、それに呼応するように日本語の表記があって、それに追随するようにどこのお店のスタッフもそれなりの日本語が喋れるわけさ。つまりさ、海外旅行とか偉そうなこと言って南半球くんだりまで出かけたところで、「日本」が視界から消えることはないんだよ。まったくね。日本人は外国に行ったって、ガイジンにはならず日本人のまま居続けることができるってわけさ。


 まあ、そのタネあかしとしては、どっかのツアー会社がホテルなり施設なりと提携してて、日本人がバカンスに来ても安心できるようにホテル内の案内表記や日本語の喋れるスタッフの手配してるんだろうけどね。で、その結果安心して多くの日本人がやってくるからホテルも歓迎して日本語表記を設け、そしてまた日本人がやってきて、巡りめぐって僕もその日本語表記の恩恵を受けてるってわけさ。これがアメリカとかヨーロッパの主要国であればまた事情も少し違うのかもしれないが、ハワイもそうだし観光で成り立ってる国は、どこもこんな感じだろうね、きっと。



 だからさ、君も英語やフランス語や、もしくは日本語がろくすっぽ理解できなくても、観光地での海外旅行は楽しめるだろうね。日本人でさえいれば万事オーケーなわけさ。


◆ニューカレドニア観光局