古豪再生


 今年の中頃に、ひとつ立てた目標があるんだよね。いや、中頃っていうか、夏くらいかな。まあとにかくさ、その目標っていうか、どっちかというとキャッチコピーとか、キャッチフレーズに近いもんかもしれないけど、ふと頭に思い浮かんだんだよ。「古豪再生」ってね。「古豪再生」。ちなみに、「古豪再生」でググってみても、それらしいモンが引っかからないから、造語なんだろうね。つまりさ、僕が自分の中学の、母校のバレー部のコーチに引っ張り出されたときに、考えついたスローガンみたいなもんだよ。


 中学の部活なんて顧問の先生次第で、強い弱いが一転しちまうよね。でも、僕の中学のバレー部は20年ほど、はるばるずっと強豪だったらしいんだよね。20年ってちょっとしたロングランだと思わないかい。ここまできたらもう「伝統的に」って形容詞を持ってきても文句は言われないよね。まあもちろん、偶然にも熱心な先生が途切れずに居ただけだって言っちまえばそれまでだけどね。でもまあ、それも今年の3月の教職員の人事異動で終幕をむかえ、そんで中学の部活だけど大人の事情が絡んできて、苦肉の策として近所のOBってことで僕も面倒みることになったんだよね。まさに青天のなんとかってやつだよ。だってさ、僕は高校でバレー部を2ヶ月ほどで辞めた人間だからね。今さらバレーなんて知らねーよってのが最初の感想だよ、まじ。そもそも僕らのやってる頃はサーブ権ポイント制の15点マッチの時代だしね。てか僕はもう中学の近所にも住んでないしね。


 まあとにかく、そんなこんなでバレーをはじめたときに思いついたんだよ「古豪再生」ってね。「復活」じゃないのがミソだよ。さっきも言ったと思うけど、長い間ずっと強かったわけだから、復活じゃなくて、再生ってニュアンスがぴったしくると思ったんだよね。



 んでさ、びっくりするほど話は全然変わるけど、9月には結婚式的な催しも施したんだよ。まあ、籍は何年か前に入れてるんだけどね。でもね、久しぶりに逢う面々を金沢に招待して、ああ、いい連中と巡り合ったなとか思いながら、それと並行して改めて新しい生活や、これまでとは違った人生がはじまったなって思ったわけさ。改めてね。極端な言い方をすると、これまでは誰かの家族の一員だったけど、これからは僕らの家族を築いていく必要があるわけだからね。


 つまりさ、こういうことだよ。僕にとっての今年の漢字は、『再』。これまで生きてきた時間を振り返って、さあもう1回、再び走って行きましょうや、そんな風に2010年は、まとめることができるんだよね。暑いとか寒いとか、そんなことは僕にとってはどうでもよかったね。たくさんのリセット、リロード、リピート、リスタートを満喫できているわけだからさ。

◆今年の漢字は「暑」 史上最高気温、落盤事故も中日新聞 (2010.12/10)


 2010年の世相を1文字で表す「今年の漢字」が「暑」に決まり、日本漢字能力検定協会京都市)が10日、清水寺(同市)で発表した。寺の森清範貫主が縦1・5メートル、横1・3メートルの和紙に特大の筆で揮毫した。
(後略)