愚痴や陰口のルール


 いつだったか、芸能人ブログが流行りはじめた頃に、確か品川庄司の品川がブログを書くときの注意点だったか、自分ルールみたいなものをどこかで書くか喋るかしてたんだよね。そのとき、ふむと思ったんだよ。別に品川のことを好きでも嫌いでもないけど、なかなかシンプルかつ、するどいことを言うなと思ったんだ。それはね、「ブログには絶対にネガティブなことを書かない」ってことなんだ。ネタに困ると、ついつい誰かの悪口や何かの愚痴やどうしようもない弱音を吐きたくなるけど、読者はそんな情報を得たところで何にもならない。だから書かない。楽しい情報やおもしろい話だけをブログに書く、とかね。まあ、今となってはTwitterを書くときの注意点、みたいな題目でよくよく目にするポイントだけど、その当時は強く感心したのを覚えてるね。



 僕も、どちらかと言えば、あまり愚痴とか陰口は意識的に言わないようにしてるんだよ。中学くらいのときに、ぐだぐだと他人の文句や悪口を言ってる奴がいて、それ見てて「おめーも人のこと言えないだろ」って思ってから、こういうのはみっともないからやめておこうって、それ以来なるべく我慢するようにしてたんだよね。「お前が言うなよ」って、いつも思ってたね。言わなかったけど。


 ただね、僕の中でもそれこそ自分ルールがあるんだよ。愚痴や陰口は、そいつらにまったく関係の無い事柄として言うってやつだね。たとえばさ、Aというグループにおける愚痴を、それとは微塵も関わりのないBグループとの飲み会でもらすとかね。Bグループにとっては、Aってグループの誰かの事柄なんてフィクションみたいなもんなんだよ。だから、多少オーバーで極端な話にして、笑いにしてしまえばいいわけさ。それに文句言われてる方も、抽象的な「誰か」でしかないから、最低限の名誉は守られるよね。


 これがAグループの、今いないだけの誰かの愚痴をAグループの人にしてると、妙な濁りみたいなものが残るんだよね。「こんなこと言ってるけど、こいつ俺のいないところでは、俺の悪口も言ってんじゃないか」って猜疑心の強い奴なんかは、そう思って、ふさぎこんじゃうよね。僕はそういう、いらん不信感をつくりたくないんだよね。


 愚痴や不平不満は、それを聞いた人間の影響範囲を考えないと、必ずしっぺ返しを食らうと信じてるんだ。もちろんそれでも、他人の文句を言うことはあるわけさ、僕だってね。でもね、意識をして、愚痴を減らすことはできるはずだから、これだけは守っていこうと思うんだよね。