『のび太と鉄人兵団 小説版ドラえもん』感想


 通常、自分のお気に入りの小説や漫画がリメイクされて、映画やドラマなんかになったときって、ひどくがっかりするもんだよね。アベレージにしたら9割9分は落胆すると思うんだ。というのも、思い入れが強いばかりに、自分の頭の中で描いていたイメージと違うとか、またリメイクには付きもののストーリーや演出にアレンジが加えられている部分に納得いかないことが多いんだよね。自分が純粋な視聴者としてではなく、「監督」として観てしまうので「違う」と感じるんだろうね。好きなあまり、つくり手の意識が入っちゃうんだよ。


 しかしだよ。残りの1分、つまりリメイクされても尚素晴らしい、という作品に出逢ったんだよ。瀬名秀明氏よによる『のび太と鉄人兵団』だね。これには、しびれたよ。


 僕くらいのドラえもんとなると、コミックの1コマ1コマの描写やセリフを鮮明に覚えているんだけど、それらをテキストで実に忠実に丁寧に再現してくれているんだ。過不足なくね。でね、もちろん若干のアレンジやプラスαの説明文なんかも加えられているんだけど、これがまたさりげなく挿入されているから、作品全体に漫画以上の奥行きを出してくれいるんだよ。いや、これは漫画から小説への完璧な「翻訳」だなと思ったね。


 大長編ドラえもんの映画は声優陣の交代を機に、近年リメイクされているけど、やっぱり「がっかり」してたんだよ。先に述べたように「なんか違う」ってね。細かい所にいちいち「そうじゃない」って思ってしまうんだ。でもね、この小説版を読んで、これほどまでに新しい感動を得られるとは思ってもみなかったね。リメイクってものが、すべてこれくらいのクオリティであればいいなと思ったよ。


 鉄人兵団をコミックで読んだ、劇場で観たという人は、ぜひ手に取ってほしいね。これは、ガチ名作だからね。


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