経験値とは


 小学校のとき、ドラクエをやっていて得た知識に「けいけんち」という言葉があるんだよね。漢字にすると「経験値」だけどね。敵をやっつけると、この経験値が増えて、ある値に達するとレベルが上がるっていうシステムなんだよね。で、レベルが上がると、攻撃力や守備力が増し、新しい呪文を覚えたりするんだ。つまり強くなるわけだよ。だから、ゲームを進めていく上で、気になる値であり、かつ重要なデータとなるわけだよ。とはいえね、小学生で「経験値」と言われても、いまいちピンとこなかったんだけどね。言葉として丸暗記したってだけで、その言葉本来の意味するところを把握するのはだいぶ大人になってからだけどね。


 ちなみに、ドラクエで得られる経験値というのは、やっつけた敵キャラによって異なるんだよ。当然手ごわい敵をやっつけた方が、たくさんの経験値をもらえる。だからね、リアルの世界でもより多くのやっかいな「なにか」に逃げずに立ち向かったか否かによって、人の経験値って変わってくるもんだと思ってたんだ。多くの難題に立ち向かった人は、それ相応の経験値を持ってるんだってね。でもね、最近気づいたんだけど、実際は少し違うような気がしてきたんだ。



 つまりさ、せっかくそれ相応の成果を挙げたり苦労をしても、なにも学んでない、つまり経験値を得ていない人って多々いるってことに気づいたんだよ。中ボスクラスの難敵を倒したのにも関わらず、ドラキー1匹分の経験値程度だってね。割に合ってないじゃん、ってやつだよ。逆に、ドラキー1匹しかやっつけてないのに、その戦闘からがっぽりと経験値を吸収してる奴もいたりするわけさ。


 つまりさ、僕がいいたいのはね、いろんなことを成し遂げたとか、チャレンジしたとか、そういうのはたいして重要じゃないってことだよ。「そこからなにを学んだか?」というより「そこからなにを学ぼうとしているか?」の積み重ねのほうが大事なんだよ。僕も最近あれこれと新しいことをはじめたり、がんばって多趣味を演出してる傾向があるけど、それだけで満足しててはいけないってことだよ。「で、どうだったか?」まで、おさらいしないとそれ相応の経験値となって蓄積されないわけだからね。ゲームのように、経過と結果と経験が自動的に一律で算出されるもんじゃないからね、現実の世の中は。