第28回金沢ロードレースに出たんだ


 3月18日金沢ロードレースの10キロの部に出たんだ。初出場なんだ。


 しちめんどくさいから、最初に君に結果を教えておくよ。これまでの記録もまとめてね。


▼10キロ記録

2012.03/18 49分58秒
2011.11/13 50分35秒
2011.09/11 58分24秒
2010.09/12 57分27秒
2009.09/13 60分13秒


 自己ベスト、かつ目標としていた10キロ50分切りを達成できたんだよね。でもね、まあ正直な感想は、あれだけ走りこんで、あれだけ練習して、たったの2秒かよ、ってとこなんだよね。48分くらいでゴールできなのならそれなりに達成感はあったのかもしれないけど、やっと2秒かよってね。でもまあ10キロ50分ってのは、野球の打率で喩えるなら.300を超えるか否かの壁にも似たものがあるから、打率.302だったことを考えれば、それなりに価値のある結果かなと思えるね。


 でね、僕が今回心がけたのは、時間だけを気にするってことかな。10キロを50分で走ろう、って距離と時間を気にするのではなく、50分間だけ精一杯走しろうとしたことだよ。まあ気にかける数字が2つから1つに減ったことで、幾分楽に走ることができた気がするよ。だから「残り2キロを10分で走らねば!」みたいなペース配分ではなく、8キロ地点に差し掛かったときには「(1キロを5分で走ること前提で)とにかくあと10分だけ走ればいい」とだけ考えたってことだね。



 てゆーかね、レース前の雑談で「俺は2キロか3キロの地点で、いつも必ずしんどくなって“ああ、なんでこんなレースなんかに申し込んだんだろう”って後悔しながら走ってる」みたいなことを何気なく話してたんだけど、これが僕の本音のど真ん中なんだよね、実は。練習では楽しく走っているけど、レースになると本当にしんどくて、まったくおもしろくないんだよ。沿道で知り合いを見つけたって、手を振ったりするような余裕なんて微塵もないからね。


 で、その原因ってのは、レース中、他のランナーにどんどん追い抜かれていくことで心が削られていくことにあるんだろうなと思ったね。誰かに先を越される度に、自分の想像以上に、何かが傷つけられ、どんどん気が滅入っちゃってるんだ。特別意識はしてないけど、きっとそうだよ。ただ今回はね、さすがに経験からか、少しは冷静で客観的な部分もあり、他のランナーに追い抜かれる毎に「(今の俺のペースは)悪くない、悪くない(抜かれたことなど気にするな)」と呪文のように自分に言い聞かせ続けたんだ。そのおかげか、心のブレはだいぶ少なかったんだけど、それでも途中何度も厭になって、無性に腹が立ってくる時間もあったんだよね。まあこの辺がタイムが伸びないし、余裕もない諸悪の根源なんだろうな。


 でね、これを書きながら思い出したのが、昔バンドをやってたときも、練習とライブで似たようなキャズムを感じていたってことだよ。練習で音を出すのは楽しいけど、ライブでパフォーマンスするのはしんどくて、たいして楽しくないって。まったく同じにおいがするんだよ。だからね、ああ、これが自分なんだろうなって。練習と本番の距離感が掴めないっていうのが、僕の傾向であって、おそらく死ぬまで向き合っていかなければいけない厄介な持病みたいなもんなんだろうなってね。


 じゃあ、バンドのときは、どうやってリハーサルと本番の深い溝を埋めたかというと、冷静さと客観性なんだよね。僕は元来、音楽やスポーツには熱狂するタイプなんだよ。でも「プレーヤーは決して熱くなるな」というアドバイスから、とにかくクールで居続けることで、自分なりにベーシストとしての満足いくスタイルが確立できたんだよね、あのときは。多分、これが僕が何かにトライする上での、大きなヒントなんだろうな。人間って、死ぬまで同じ成功と同じ失敗をずっと繰り返すんだ。たいせつなのは、自分の成功の法則や失敗の法則に気づくかどうか。何だって気づいちゃえばこっちのもんだからね。まあこの辺の発見が、タイム以上の今回の成果かもしれないな。