オレ流コーチング



コーチング―言葉と信念の魔術』落合 博満


 僕の「世界三大かっこいい男」がジョン・レノン、ジェイ・ケイ、落合博満だってことは前にも話したよね。つまり僕は落合さんには大いに一目を置いているってことだよ。


 この本がリリースされたのは、2001年だっていうから、もうかれこれ7年も昔の話なんだ。だいたい、ホットなエピソードとして、森監督に頼まれて臨時コーチとして横浜のキャンプに参加したことが書かれているくらいだからね。で、多村、石井義人田中一徳のバッティングを見たとか言ってるわけさ。今となっては、森さんはもちろん、多村(ソフトバンク)も石井(西武)も田中(引退)も横浜にはいないし、そもそも落合は中日で監督やってるくらいだしね。からっきし原型をとどめてないくらい昔むかしの時代の書物なんだよ。


 だから僕もこんな大昔の本を買うのは躊躇したね。だって、世の中未曾有のドッグ・イヤーだからね。でもね、どっこい落合は理論は、時代を超えて刺激的だったわけさ。それに、他人に何かを教える際のポイントなんてものは、いつの時代も同じようなもんなんだろうね。あと、当然野球ベースで書かれているから、説教くさくなくて頭にすっと入ってくるんだよ。すっとね。これが「ビジネスマンのためのビジネス・コーチング講座〜上司と部下の上手な付き合い方」みたいな切り口だったら、僕は3ページも読まないうちに反吐を吐いてしまってただろうね。


 以前に落合の書いたバッティング理論の本を読んだときも感じたのだが、この人の主張ってのは、非常にロジカルなんだよ。そしてまったくをもってしてクールでブレがない。だから、話がわかりやすいんだよ。まいっちゃうよね。一見ふてぶてしいキャラなのにね。


 僕は他人に何かを教えるという行為をボウフラくらいに忌み嫌っているわけだが、まあいつまでもそうも言ってられないわけさな。少なくとも他人に何かを教えなきゃいけないシーンは出てくるわけさ、これからは。そんななかで、「あくまで主体はプレイヤーであり、指導者はプレイヤーに考えるヒントを与えるだけ」みたいなくだりには感心して、落合氏にファンレターを書こうかと思ったくらいだよ。実際書いてないけどね。


 まあ、もともと僕は中村ノリさんのFAなんか容認派だったけど、これを読むともっと素直に喜ばしいことだと受け入れられるんだよね。まあ一言でまとめるとだね、落合を好きでよかったと思ったね。まじ。