ティファニー



ティファニーで朝食をトルーマン カポーティ


 実は『ティファニーで朝食を』という文庫本を買うのはこれが2回目なんだよね。でも2回目だろうが2冊目だろうが、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『ロング・グッドバイ』と共に村上春樹がもっと影響の受けた三大小説として名高い作品の本人訳だから買わないわけがないわけさ。と思ってたけど、今いま調べてみると、からっきし違ったね。

 もし「これまでの人生で巡り会ったもっとも重要な本を三冊あげろ」と言われたら、考えるまでもなく答えは決まっている。この『グレート・ギャツビー』と、ドストエフスキーカラマーゾフの兄弟』と、レイモンド・チャンドラーロング・グッドバイ』である。

――『グレート・ギャツビー』訳者あとがき


 だそうだ。人の記憶なんて役に立たないもんだよ、まったく。


 まあとにかく、元々所有してた本棚にあるものは正直どんな話だったか記憶にないんだよね。というより、栞がページの途中にはさんであったから、多分最後まで読んでないような気がするんだ。僕はね、本を全部読んだら必ず本のアタマに栞を戻すんだよね。必ず。それが全部読んだって印みたいなもんなんだよ。僕の中のルールとしてね。


 まあとにかく、『ティファニーで朝食を』と言えば、オードリー・ヘップバーン主演の映画を思い出す人が多いと思うんだよね。まあ僕もそうだよ。観たことないけどね。でもどうやら原作である小説とはけっこう別物に仕上がってるらしいね。映画の方はってことだよ。まあ確かに言われてみればそんな気もするんだよね。だって、主人公のホリー・ゴライトリーはどう考えても、オードリー・ヘップバーンの雰囲気とマッチしないからだよ。まあ、僕もオードリー・ヘップバーンで知ってるのは「ローマの休日」くらいだから偉そうなことは言えないんだけどね。


 とはいえ正直なところ僕はこういうアメリカくさい作品はいまいちピンとこないことが多いんだ。もちろんホリーや、語り手の主人公には魅力を感じるけど、椅子から転げ落ちるほどの感動は少なかったかな。でも『ティファニーで朝食を』なんてシャレたタイトルには、もうそれだけで1ラウンドKOされちまうよね。これで僕のティファニーに対する株も急上昇だよ。ティファニーニューヨーク・ヤンキースのロゴをデザインしたってエピソードを聞いたときよりも、この作品の大いなるモチーフとして登場することに、ティファニーの評価が上がったってことだよ、まじで。