すばらしい日々


 正式なリリース日は明日だけど、ユニコーンのニュー・シングルが家にやってきたんだ。


 シングルの「WAO!」に関しては、これまでYouTubeやニコニコでヘビロテしてるわけで、改めての感激は想定内だったわけだが、特典DVDが予想以上の完成度だったね。これをね、これをずっと待ってたんだよ、遥かずっと前から。

(僕が)いないうちに、何かおもしろい事が起こったら悔しいから、(スタジオに)行くとか、(ユニコーンには)そういうムードがあるじゃないスか。


――奥田民生


 僕が中2病的に音楽を聴きはじめたのも、そして勢い余ってバンドをはじめたのも、すべてこのユニコーンがあったからと言っても過言じゃないんだ。そのことはもう君も知ってるよね。で、東京に出てバンドをはじめて、というかバンドをやるために東京に行って事実5年ほどバンドを続けてたわけだが、その間ずっとユニコーンのことが頭にあったことは誰にも否定させないね。途中ヴィジュアル系みたいなことやってても、僕の音楽に対する原動力はユニコーンだったんだよ。車がガソリンで動くのと一緒だね。


 とにかくこの特典DVD「バンドやろうぜ!〜アルバム“シャンブル”ができるまで PartI」を観てると、否が応でも自分が楽器をはじめた頃やライブをしていた時期を思い出したりするんだよ。世の中に逆行した男が数人、狭く汚いスタジオに週1か週2で集まって、2時間ばかし騒音を掻き鳴らすわけさ。で、月に1回ほどの下手なライブが終われば、そのまま次の日の朝まで打ち上げと称して酒を飲むという、およそ世間というものから遠く離れた生活を送るわけだよ、バンドをやってる人間なんてのはね。だいたいライブの演奏時間より酒飲んでる時間の方が俄然長いからね。でもね、それがロックなんだよ。そしてそういう仲間と音楽をできていることが生きている証みたいなもんなんだよ。まあ日本人のM1層の約80%は一度はバンドを組んだことがあると思うから、いちいち説明しなくてもわかってることかもしれないけどね。


 僕は別にね、ユニコーンがすごいなんてことや、このリスタートは注目すべきだなんてことを鼻息荒く力説するつもりはないんだ。もちろんそうすることだってできるけど、まあ世の中にはユニコーンなんて別にどうでもいいって思ってる人もいるからね。僕はね、今回の一連のユニコーンの活動をみて、その昔、何か一つのことを一緒にやってた人間がいつかまた集まる、戻ってくるということにいたく感動したんだ。もちろん前向きな理由でね。僕が金沢に半世紀ぶりに戻ってきたときも、この生活に思いの他自然に馴染むことができたし、どんなにブランクがあろうとも、居心地のいい仲間や場所というものは、常に自分を受け入れてくれたと思うね。まあ川西君が言っていたように、押してあったポーズ・ボタンを解除したかのように、自然に時間が繋がって流れ出すんだね。


 つまりさ、仲間や思い出はいくらつくってもつくり過ぎることはないんだよ。もちろんそれが小さなグループで自分達しか知らないようなこじんまりとした活動で終わってしまったとしても、いつか振り返って、再び顔をあわせたときに込み上げる気持ちというのは、それこそれ生き甲斐を感じるものになると思うんだ。まじ。



「WAO!【初回生産限定盤】」ユニコーン