将棋マスター



『簡単に、単純に考える』羽生 善治


 僕はね今年の大きな目標が2つあるんだよ。一つは、ハーフ・マラソンに出ること。もう一つは、将棋をマスターすることなんだ。でもね、自慢じゃないけど、どちらもほとんど取り組みもしてないね、今のところ。走ることに関してはヒザが痛いし、将棋に関してはなんとなく練習しようという気にならないんだ。覚えたいって気持ちはあるんだけどね。いや、ホントだよ。だって、ブラウザ立ち上げると「詰め将棋」のページがちゃんと毎回出てくるんだ。ただ、実践することはないけどね。ここ1ヶ月くらいずっとね。


 でね、僕がなんで将棋に興味を持ったかって言うと、この羽生さんの影響が強いね。まあ、15年ほど前、この人の名が知られてきた頃は、将棋なんて地味なことやってる根暗な寝癖の人ってイメージしかなかったけど、ここ数年、いろんな本やインタビューなんかを目にする機会があって、いやはや、この人はホンマもんに天才だなって痛感したよ。とにかく何かを吸収しようってことにすこぶる貪欲なんだよ。そして、それを見事なまでに効率よくちゃっちゃとこなしているんだ。このストイックさとスマートさに惚れたわけだね。そして、同時に将棋ってゲーム自体に魅力を感じるようになったんだよ。だって、こんなにシンプルかつ複雑なルールって他にないよね。チェスなんかよりもずっとノーブルだよ、まじ。


 まあ、この本は対談集なんで、正直読んでて退屈な部分もあるんだ。でも、棋士VSスポーツ・ジャーナリスト、棋士VSアスリート、棋士VSロボット・エンジニアなんて異色の組み合わせは魅力的だと思うよ。特に、カーネギー・メロン大学の金出教授との章は、君も読んでおいた方がいいと思うな。別に将棋とかロボットとかに興味あるとかないとか関係なくね。


 とにかくいろいろ勉強になったし、何かと紹介したい教訓なんかもあるけど、いっぱいありすぎてまとめるのがめんどくさいから、やめとくよ。気になった人は、立ち読みとか図書館とかでチェックするといいね。ただ一つだけ言っておきたいことはだね、将棋は浪漫だってことだね。うん。まだ僕は駒の動かし方くらいしか知らないんだけどね。