本当にユニコーンが好きならファン・ベストは買うな


 ユニコーンのニュー・アルバム「シャンブル」がオリコン1位だったらしいね。まあ、来月からはツアーもはじまるし、色々と僕の中の期待も高まるところだが、気になることがひとつあるんだ。それが、3月18日にリリースされるベスト・アルバムのことなんだよ。


 確か元旦から公式サイトでは、ファンの好きな曲の投票を呼びかけてたんだ。で、ある日突然、このランキングを元にリクエスベスト・アルバムを出しますと発表されたわけさ。なんか再始動にかこつけて、いやらしい商売してるなと、僕は最初からおもしろくは感じなかったんだよね。本音を言えばね。


 でね、よくよく考えてみると、「再結成だと言って、昔やってた曲を限定でやるだけなんてのは厭だ」みたいなことを西川君は言ってるわけだよ。「今またこの5人がそろって、新しいことができるなら、一緒にバンドをやろう。それで昔の曲をカヴァーするなら、まあそれはそれでいいんじゃない?」みたいな。


 だからさ、この昔の曲を集めて「昔こんなのやってたんだ。懐かしいでしょ、いい曲でしょ」みたいなベストアルバムなんて、まさにユニコーンが再始動するにあたって、彼らが嫌悪していたスタイルだと思うんだよ。だって、録り直しはおろか、リミックスすらしない昔の音源がリリースされるわけだからね。そもそもユニコーンの一番の魅力はライブなんだよ。今さら20年近く前に録音されたMaybe Blueを再購入して、それでどうしろというのか理解できないね。本当にこのアルバムは、ニーズ・オブ・ファンなのかなと。


 たとえそれがベテランのミュージシャンであっても、末端のプレイヤーなんてものは、組織や企業にとってみれば、商売の1ツールに過ぎないことくらい、まあ僕にもわかるさ。素人が考えても、このタイミングでベスト・アルバム的な音源をリリースすれば売れるのは間違いないんだから、バンドの意見がどうであれ、こういったプロモーションが行われるのだろうけど、労働者と会社、そして顧客の力関係、需要、金の動きが垣間見えてしまい、働く男はつらいよと思ったね。


 だからね、僕はこのベスト・アルバムは絶対買わないね。そもそも何故ユニコーンがまた集まって音楽をやっているか、その根底の部分と大きく矛盾してるからね。そんな音楽を聴いても、何も感じないと思うんだ。


◆UNICORN.JP