エスキモーは関係ない。本文と関係ない。



エスキモーに氷を売る―魅力のない商品を、いかにセールスするか』ジョン スポールストラ


 ネットで見かけて、とてもユニークなタイトルだなと思い、すぐさま図書館で借りてきたんだよ。高校のときの国語の先生が「読んでみたいな、買おうかな、どうしようかな。なんて思った本は買っておかないとあとで絶対後悔する」なんて偉そうに読書のすゝめを語ってて、僕はその先生のことが好きじゃなかったし、そもそも国語は嫌いな授業だったから、「あー、はいはい」と思って聞いたいたのだが、今でもときおり思い出すんだよね。で、ちょっと気になったら、とりあえず読んでみようって実践してるんだよ。不思議なもんだね。


 でも、まあこの本なのだが、特別おもしろかったとか、ためになったというわけでもないかな。スポーツ・マーケティングをベースに書かれた内容で、エスキモーのくだりはいっさい存在しないんだよ。つまりは、僕が惹かれたタイトルに関しては、とても壮大な比喩であり、それ以上でもそれ以下でもないってことだね。


 まあそれでも僕なりに解釈するとこんな具合かな。まず氷という商品の持つ特徴と売りを的確に把握せよ、と。そのためには、従来通りの見方だけでなく、革新的なアイデアや発想が必要さ、と。まあ、氷は武器にもなるから、これでアザラシとかを狩れますよとか、色の付いた氷であればインテリアにもぴったりよ、とかそういう価値だったりするのかな。んで、エスキモーにだって、氷を必要としている人はいるわけだし、氷を愛して止まない人もいると。だから、自らアラスカを歩いたり、エスキモー人のたむろする集落をうろうろすることで、そういった人たちを見つけ出し、そこに向けて一転集中でアプローチしてこうや、そうすりゃエスキモーにも氷は溶けるように売れますぜみたいなとこかな。まあ、こうやってまとめると、つまんないかもしれないけど、まあ要所要所でためになることも書かれてたよ。


 でもこの人の主張で一貫して感じられたのは、「出る杭を伸ばそう」ってスタンスかな。見込みのある部分を見極め、そこにだけ惜しみなくコストをかけるって考え方だね。まあ、それくらいなら覚えておいてもいいんじゃないかな。