無題



ドグラ・マグラ』夢野 久作


 きちがい小説として名高いので、購入してはみたものの、さっぱりわけがわからなかったんだよね。小説を読んだときはね。確か、上巻の終わりくらいに、奇妙奇天烈な童歌みたいな詩が永遠と続くシーンがあって、そこで文字通り頭がおかしくなりそうだったんで読むのを止めた記憶があるんだよね。うん。安部公房の『壁』くらいわけがわからなかったよ。


 まあ漫画で読むとさすがにストーリーはすっと頭に入ってきたのだが、「深み」がないので、読み応えもなかったってのが正直な感想だね。まあ端折ってる部分も多いだろうしね。「本書を読破した者は、必ず一度は精神に異常を来す」なんてキャッチ・コピーみたいなおどろおどろしさはないね。とはいえ、またあの妙ちくりんな小説を読んでみようとは思わないね。映画があるようなんで、そっちを見てみたいかな。こういう世界観は映画でもアリだと思うんだ。


 ちなみにこの『ドグラ・マグラ』は日本三大奇書と称されているらしいね。で、残りの2つは、『黒死館殺人事件』『虚無への供物』だとさ。この中でも『ドグラ・マグラ』がまだ読みやすいポジションだそうなので、まあおそるべし日本三大奇書だね。


ドグラ・マグラ (1988)