F2層間近の貴女に



『ガール』奥田 英朗


 これはね、ダザイの『女生徒』以来の衝撃だね。これは良いよ。まじ。男も女も読むといいよ。


 まあ、本のタイトルを見ればわかると思うけど、これは「ガール」を主人公にした短編オムニバスの物語なんだ。で、君が「ガール」と聞いて、ジェンダーとしてのどんな女性を思い浮かべるかはわかんないけど、とにかく「ガールであり、ガールでない」そんな「ガール」が次々と登場してるんだよね。ずばり言うところの、F1層からF2層に移りかけてしまう、そんな複雑怪奇な年齢のジェンダーとしての女性ってことだよ。この設定、そしてこの主人公達の描写がすばらしいと思うんだよね。まあ、もちろんこれはジェンダーとしての男性である僕の意見だけど、ジェンダーとしての女性である人も共感してもらえると思うよ、きっと。


 で、ジェンダーの話はもういいや。僕がこの本を読みながら感じたのは、「とにかく、しっかり働いてる人ってのは、男も女もかっこいいな」と思ったことだね。この一連の物語からは、働くことのカッコよさも改めて気付かされた気がするよ。奥田英朗は絶対人間としてもカッコいいだろうね。こういう人が上司だったら、相当しごかれるだろうけど、莫大な人生勉強ができる気がするよ。うん、まじめな話だけどね。