野球とは、――2010年


 きのう紹介した二宮清純著『プロ野球の一流たち』は、ホント読み応えがあったから、もう少し書かせてくれよな。もう少しだけな。


 僕は、この本の中でも、独立リーグNPBの関係を、NPBとメジャーの関係に置き換えて考えようぜと提案してた件には、うむなるほど、と思ったんだ。つまりさ、松坂がNPBからメジャーに移籍するにあたって巨額の移籍金が動いたように、独立リーグからNPBに移籍するにあたってもそれなりのマネーが動くような仕組み、ポジションを今後築いていかないとね、ということだよ。わかるかな。


 現状、独立リーグNPBの下にある下級組織みたいな位置づけだよね。独立リーグからドラフトで指名される選手もいるけど、NPBからしれみれば「キミなかなかいいから、ウチに入れてやってもいいよ」みたない上から目線は否めないよね。だって、二十歳に満たない高校生の方がずっと注目されて、いい条件もらってるしね、独立リーグの選手より。事実僕も最初はさ、「独立リーグなんて、NPBに行けなかった連中の集まりだろ」って思ってた節はあることはあるよ。でもやっぱり地元のチームということで観てるうちに愛着もわいてきて、身近なプロ野球チームとして、力を入れて応援する価値は充分にあると思うんだ。というわけで、NPBで中日を応援して、メジャーじゃマリナーズを応援するのとまったく同じ感覚で、独立リーグはミリスタ・ファン、NPBじゃ中日ファンって、同じ日本でもまったくの別次元でそれぞれのチームを応援してるんだ。


 だからこれからはさ、独立リーグを地元のファンがもっとしっかり応援して、NPBとは“独立”した野球文化を築いていかないといけないんだよね。多分これからの野球の発展の仕方ってこういうのだと思うよ。んで、独立リーグの各選手もね、近い将来、NPB側から「ウチのチームにぜひ!」と言わせる存在になって、ニュースになるほどの移籍金をもらうべきなんだよ。そしていずれは「もうプロ野球NPBではなく、独立リーグの時代」なんて言われることにもなれば、最高だろうね。



 またね、一流日本人プレーヤーがメジャーに流れることを嘆いてる暇があったら、一流のアジアン・プレーヤー、つまりは韓国や台湾、そして中国からの有望な選手を日本に連れてくれば、NPBは、ひいてはアジアの野球が活性化するのは想像に難いよね。日本がアジアの中での“メジャー”になれば、アジア各国での日本野球人気も生まれ、グッズも売れ、放映権も買われ、最終的には日本プロ野球だってウマーになるわけさ。


 日本の野球には、いろいろと問題もあるだろうけど、自分達が「うまく利用されてるな、困ったな」という状況でも、一歩引いて全体像を俯瞰してみれば、そいつを「うまく利用できる」仕組みがあるんだってことだね。なんでそれに気付かないんだよ、ってことを主張してたね。うん、ごもっともだよね。


 もちろん、ここまで野球を支えてきた仕組みややり方もあるだろうけど、これからの野球のあり方ってのは、ソレはソレ、コレはコレで劇的に変わっていくだろうね。うん。というか、変えていくのは今野球を観てるファンの僕らなんだろうね、きっと。こういうことを少し意識するのとしないのでは、2010年の野球のおもしろさは全然違ってくると思うんだ。うん、日本シリーズを観ながら、来年の展望も頭に描いてみるのも悪くないと思うよ。



『プロ野球の一流たち』二宮清純