『任天堂“驚き”を生む方程式』感想


 任天堂と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、僕ら世代の場合は「ファミコン」なんじゃないかな。まあ「スーファミ」とか「ゲームボーイ」って奴もいるかもしれないけどね。でまあ最近じゃ「DS」や「Wii」ってところだろうけど、いずれにしてもハードの会社というイメージだろうね、ほとんどの人は。任天堂はゲーム機をつくっている会社ってね。でもさ、この本を読んでみると、ところがどっこい、ソフト重視だっていうから、驚いたね。「ソフトを主軸に、ソフトを優先に物事を考える」ってね。これが任天堂の前山内社長の徹底したスタンスだったらしいね。


 でもね、ゲーム史的には、「ファミコン」から「DS」「Wii」に至るまでの間に、ソニー「PS」時代ってのがあって、僕なんかは、ソニープレイステーションの登場で任天堂もすっかり霞んでしまったな、ナンマイダ、とか思ってたことがあったんだよね。1990年代半ばからの約10年間のことだね。昔はあれだけ任天堂のゲーム機で遊んでいたのに、もういいトシこいてマリオとかゼルダとかをロクヨンでやろうなんて思わないよ、ごめんな任天堂、ってね。


 でもね、この苦境からどうやってDSやWiiをヒットさせたか。このアプローチと、その決断を裏付ける任天堂という会社の哲学のようなものがまとめられてるんだよ、この一冊に。だから、なかなか読み応えがあると思うな。特にゲーム通の満足度を刺激する高画質、ハイテク競争から早期に脱却し、アンチ・ゲーム層、特に家庭の「お母さん」をターゲットに新商品の開発を進めたという視点には、強く「ふむ」と唸ったね。確かにDSやWiiというのは、これまでのゲームのイメージを塗り替えるかのように、しごく女の子受けが良い印象だもんね。やっぱり何でも、行き詰まったら間口を広げないといけないってことだよ。この「ソフト重視」という部分と「新規ユーザー層開拓」「ゲーム(娯楽)の本質の探究心」って部分に感銘を受けたね。任天堂すげーやと。


 この本を読んで、僕は任天堂という会社にとても良い印象を持ったことは否定できないね。また、トップがあれこれとメディアに顔を出さないっていう奥ゆかしさも好印象だね。まあとにかくさ、ファミコンに恩恵を受けた人であったり、DSやWiiのある生活をエンジョイしてるのであれば、読んでみることをオススメするよ。


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