僕は百万石祭りが大嫌いだった
今年は6月3日〜5日と百万石祭りが開催されているんだ。昔は、平日だろうがなんだろうが6月14日に行われて、小学校は休みになってたんだけど、観光の観点から、いつの頃からか6月の第一週土曜日前後になったんだよね。
まあ、それはともかくね。僕はその百万石祭りってのが大嫌いだったんだ。小学校の頃の話だけどね。というのもね、何かよくわかんないのに、人がわんさか集まってくるってのが、そもそも好きじゃないんだよね。とはいえ、何度か家族に連れられて行列を見に行ったことがあったけど、侍みたいな格好をした人達や、ただ威勢のいい連中が次から次へと現れては去っていくだけで、結局僕の思い出として何が残ったんだろうか、せっかくの休みの日が無駄になってしまったんじゃないか、みたいな記憶しかないんだよね。何が楽しいのかさっぱりわかんないんだよ。
またね、この祭りの初日には、提灯行列といって、市内の子どもが片町の中央公園から地元の小学校まで提灯を持って行列を組んで練り歩くってイベントもあるんだけど、僕は1回も参加したことないんだ。理由は、意味もないのにのてのてと歩くってことにどうしても納得がいかなかったからだね。家でテレビ見たり漫画読んでる方が格段におもしろいよって。あと、さっき言った通り、知らない連中と一緒に時間を過ごすということにも大きな抵抗があったんだよ。
でまあ、それから十数年経って、僕がふと思ったのがね、人が集まるところが嫌いなことや、外に出てのてのてと歩くことが厭だと感じる部分が、すっかりなくなっているんだよね。むしろ今では、好きこんで人の集まるところに出かけたいし、休みの日に家にいるってことこそが時間を無駄にしてると感じるくらいなんだよ。三つ子の魂何とかまでとかいうけど、まったく僕の性格が変わってしまっているなと感じるんだ。去年もそう感じたんだよ、百万石行列のときにね。
このお祭りに対する見方ってのは、僕が東京に出ていろんな価値観を吸収した結果、大きく変わった事柄の象徴的な一つなんだよね。昔は、こんなお祭りなんて関心の欠片もなく、腹立たしいとさえ思っていたのに、今ではまったく真逆の見え方をしてるんだ。こういう地方の祭りがもっと注目されるべきだとかね。そういう意味では、なかなか興味深いイベントなんだよ。だから、君も6月の第一週に金沢に来る機会があったら、是非百万石行列をエンジョイしてほしんだ。青森のねぶた祭りとか高知のよさいこ祭りには、てんで敵わないのだろうけどね。
