スマイリーキクチ著『突然、僕は殺人犯にされた』感想


 このスマイリーさんの事件というかニュースは、なんとな〜くしか認識してなかったんだけど、まあ改めてひどいもんだなと感じたね。ひどいというのは、加害者側の手口はもちろん、警察や検事といった立場の人間の対応のことだけどね。まあ、最終的には腹が立つのを通り越して、呆れてしまったけどね。でね、特にね、2つの恐怖を感じたんだよね、これを読み進めているうちにね。


 1つは、ここに描かれているとおり、自分もこういった被害者に成りうるのではないか、ということ。将来的にこうなる可能性は充分にありうるし、過去にこうなっていた可能性も充分にありえた。それどころか、もしかしたら、今現在どこかで僕の名前がまつりあげられている可能性だってあるわけだよね。今では、素人でも、それなりの理由をつけられて叩かれる可能性があるわけだから、充分に注意しないとなと思ったよ。極力個人を特定できるようなことは書かないようにして、紛らわしいことや誤解を生むような極端な表現も避けたほうがいいなと改めて実感したよ。


 そして、もう1つは、世の中は、いまだに「ネット」に対してこれだけ無関心であり、無知なんだなということ。まあ、それと同様に、何事も目に見える被害がない限りは、警察はもちろん相談所や組織ってものは動いてくれないんだなって再認識したね。相談を聞いて、汎用的なマニュアル通りの返答が返ってくるだけで、てんで頼りにならないわけさ。動いてくれたとしても、とても鈍いんだよね。誰かが身体的な傷を負わないと、物事は進展しない。それが心の傷であったり、精神的なダメージのような目に見えないものであった場合はしごく伝わりにくいし、ましてやネットのような曖昧なバーチャルな世界であればなおのことだよね。


 つまりさ、自分の身を守るのに、頼りになる人や機関ってのはとても少なく、手を差し伸べてくれる頼りがいのある人を見つけるだけでも、相当な努力と時間と運が必要だってことだよ。


 刑事や探偵ドラマを見てると、なにかトラブルが起きても、困った市民の味方になって手際よく1〜2週で事件を解決してくれる「誰か」が必ずいるわけだけど、実際問題は、誰も相手にしてくれないってのがほとんどなんだよね。この辺、君も肝に銘じておいたほうがいいよ。いざというときに頼れる人ってのはびっくりするほど少ないってことをね。


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